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植木靖男氏【相場変調、政局不安に揺れる株と為替の行き先】(1) <相場観特集>


―4月新年度入りを前に考える視界不良相場への対処法は―

 東京株式市場は冴えない動きが続いている。2月14日と3月5日の2万1000円台割れで2点底を形成し出直り途上にあるが、ここにきて国内政局の不安定さが上値を重くしている。期末相場も大詰めを迎えているが気迷い材料は多い。新年度入りを前に投資家はどういうスタンスで臨めばよいのだろうか。また、トランプ保護主義を背景としたドル円相場の動向も気になるところだ。日本株と為替の見通しについて、それぞれ業界の専門家に話を聞いた。

●「戻り足は当面期待しづらく、新年度相場まで様子見」

植木靖男氏(株式評論家)

 東京株式市場は、これまで米国株次第というコンセンサスがあったが、直近は風向きが変わってきた。いうまでもなく国内政治リスクが足かせとなっており、当面は不透明感が強く、戻り相場への期待が剥落しやすい環境にあることは否めない。

 安倍政権に覆いかぶさっている「森友学園問題」は簡単に吹っ切れる感じではなくなっている。この問題自体がどのくらい政権運営にダメージをもたらすのかは、外部からは判断がつきにくいが、分かりやすいバロメーターがある。それは支持率であり、これが激しく低下することになれば、安倍政権も拠りどころを失うことになる。現在は30%台にある支持率が、仮に軒並み20%台に入ってくれば明らかに危険水域といってよく、株式市場もリスク回避の外国人売り圧力が強まり、日経平均株価も大幅な調整を回避できないだろう。

 ただし、4月以降は外交日程が相次ぐ。ここでそれなりの成果を上げることができれば政権も相場も立ち直ることができる。森友問題で安倍政権の基盤が弱くなっているのは事実としても、ポスト安倍を今の日本に求められるかといえば、冷静に考えてそれは難しい。ここは正念場であり、4月新年度入りまで支持率が今の水準で何とか持ちこたえられれば、売り方の買い戻しなども交え視界が変わる可能性は十分にある。

 一方、外国為替市場での円高警戒感も以前より強まっている。1ドル=105円台を割り込むようだと、これも相場の下げを加速させることになり注意が必要だ。日経平均の下値については、テクニカル的に3月5日につけた安値(ザラ場ベースで2万937円)を下回るかどうかにマーケットの関心が集まりそうだ。今は拾い場かもしれないが安易な買い参戦は避けて、新年度相場入りまでは様子見姿勢で対処するところではないか。

 押し目買いを狙うのであれば、リスクオフの巻き戻しに入った場合は為替も円安方向に振れる可能性が高いため、ハイテク輸出株の戻りが大きいと思われる。その際にも無理をせずに、東京エレクトロン <8035> やSUMCO <3436> などの半導体関連や、ファナック <6954> 、安川電機 <6506> など設備投資関連の下値を十分に引きつけて拾うスタンスが望ましい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(うえき・やすお)
慶応義塾大学経済学部卒。日興証券(現SMBC日興証券)入社。情報部を経て株式本部スポークスマン。独立後、株式評論家としてテレビ、ラジオ、週刊誌さらに講演会などで活躍。的確な相場見通しと独自の銘柄観に定評がある。

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