日本通信 <
9424> が1月22日大引け後(16:40)に業績修正を発表。16年3月期の連結最終損益を従来予想の10.5億円の黒字→16.4億円の赤字(前期は3.2億円の黒字)に下方修正し、一転して赤字見通しとなった。赤字額は前期末の純資産を33.9%毀損する規模となった。
会社側が発表した下方修正後の通期計画に基づいて、当社が試算した10-3月期(下期)の連結最終損益も従来予想の12.1億円の黒字→14.7億円の赤字(前年同期は2億円の黒字)に減額し、一転して赤字計算になる。
株探ニュース
会社側からの【修正の理由】
当社は、2011年6月に格安SIMの第1弾を市場投入し、成功させました。これが契機となり、MVNO事業への新規参入が相次ぎ、今やMVNOが一つの市場及び業界を形成するまでに成長しました。しかしMVNO業界全体が過度に格安SIM市場へ集中していることから、価格一辺倒の競争に陥り、MVNOが本来目指すべきサービス多様化が進展しませんでした。このような背景のもと
»続く
、当社は、モバイル通信をベースにしたモバイル・ソリューションを法人顧客向けに提供(MSP事業)する方針を打ち出し、SIM事業からMSP事業への転換を戦略の柱として取り組んでまいりました。この戦略転換の背景には、携帯事業者との相互接続に関して、当社が要請する技術方式での接続がいつになっても実現しないという状況があります。当社は、2007年以来、MVNOが多様なサービスを提供できるような技術方式での接続を要請し続けてきていますが、実現しないため、極めて多くの技術的制約の中、間隙を縫う形でモバイル・ソリューションを開発、提供することとしたものです。このような流れの中、総務省は、2015年末までに、言わばMVNO規制緩和となる新方針を打ち出しました。当社は、MVNOを取り巻く環境として、携帯事業者の接続料算定に関する問題、及び技術的制約に関する問題の抜本的な解決が必要と強く行政に訴えてきましたが、携帯電話料金の引き下げという議論の中で、当社の主張が全面的に認められた内容になっているMVNO規制緩和が打ち出されたのです。これを受け、当社は、年末から年初にかけ、これまでの当社の役割、すなわち、MVNOのモデル事業者としての役割から、MVNOやシステム・インテグレータ、大手メーカーや金融機関、医療機関他が目指すモバイル・ソリョーションを実現するためのMSEnabler (モバイル・ソリューション・イネイブラー)としての役割へと、自らの役割を再定義いたしました。そしてこの役割の再定義に基づき、当社の戦略を転換します。すなわち、これまでは、SIM事業からMSP事業への転換を事業戦略の柱に据えていましたが、新たな事業戦略として、当社は、MSEnablerとして、パートナー企業及びクライアント企業と共にSIM事業及びMSP事業に取り組んでまいります。(当社の新たな事業戦略については、本日開示した「日本通信の新事業戦略」をご覧ください。)以上の通りの当社の役割の再定義及び事業戦略の転換を踏まえ、当社は、当社が持つ有形無形の資産内容を見直しました。見直した中には、VAIO Phoneを完売するのに必要な在庫評価減等を行っています。また、当社がこれまで戦略の柱として推進してきたMSP事業については、第4四半期の受注及び納入を目指して進めてきていますが、ソリーション及び製品の市場投入の遅れ等の要因も含め、当社が想定していたよりも商談が長期化している現状を踏まえ、MSP事業の売上予想を大幅に引き下げました。期初予想との比較では、営業利益ベースで26.0億円という大幅な下方修正となりましたが、内訳としては、上記引当のような評価性のものが10.9億円、MSP事業の売上予想の引き下げ等に伴うものが13.1億円となっています。修正の理由の概要は上記に記した通りですが、各事業別にご説明いたします。(1) MSP事業期初予想では米国を含むMSP事業を31.6億円としていましたが、モバイル・ソリューションや製品の市場投入の遅れ、及び商談サイクルが当社想定よりも長期化していること、そして、商談のクロージング時期である第4四半期に入り、企業顧客の投資決定が先延ばしになる経済環境に入っていること等から、MSP事業としては、15.3億円へと大幅に売上予想を下方修正いたしました。(2) SIM事業期初予想では、前年度比横ばいの29.4億円を予想していましたが、通話定額を持たないMVNOのSIM市場全体の伸び悩み及び引き続きSIM市場が過熱した価格競争状況にあること等から、24.4億円へと売上予想を修正いたしました。(3) その他の事業創業以来行っているテレコムサービス事業及びPHS事業ですが、MSP事業に集中するために、前者については2015年7月をもって、また後者については2015年9月をもってサービスを停止しました。これにより、期初予想7.1億円を3.4億円へ引き下げました。以上、3つの事業分野を合計すると、通期では25.2億円の売上の下方修正になります。これにより、営業利益で12.8億円の減額要因となりますが、これに加え、VAIO Phoneを完売するのに必要な在庫評価減など、また、上記事業戦略の転換に伴うその他の評価性の利益の減額により、11.0億円の営業利益から15.0億円の営業損失へと予想の大幅な下方修正になります。経常利益は以上の通りの営業利益予想の下方修正が主な要因です。また、当期純利益については、以上の状況を踏まえ、繰延税金資産の取り崩し46百万円、減損損失の計上73百万円により、10.5億円の当期純利益から16.2億円の当期純損失の予想になります。(注)上記の予想は、本資料の作成日現在において入手可能な情報に基づいて作成したものです。 実際の業績は、今後の決算において発生する様々な要因により、予想数値とは異なる場合があります。
業績予想の修正
決算期 |
売上高 |
営業益 |
経常益 |
最終益 |
修正 1株益 |
修正 1株配 |
発表日 |
旧 15.10-03 |
4,437 |
1,243 |
1,258 |
1,213 |
8.63 |
- |
15/10/29 |
新 15.10-03 |
1,917 |
-1,357 |
-1,357 |
-1,479 |
-10.52 |
- |
16/01/22 |
修正率 |
-56.8 |
赤転 |
赤転 |
赤転 |
赤転 |
|
(%) |
決算期 |
売上高 |
営業益 |
経常益 |
最終益 |
修正 1株益 |
修正 1株配 |
発表日 |
旧 2016.03 |
6,830 |
1,100 |
1,090 |
1,050 |
7.47 |
- |
15/04/30 |
新 2016.03 |
4,310 |
-1,500 |
-1,525 |
-1,642 |
-11.68 |
- |
16/01/22 |
修正率 |
-36.9 |
赤転 |
赤転 |
赤転 |
赤転 |
|
(%) |
※単位:売上高、営業益、経常益、最終益…「百万円」。修正1株益、修正1株配は「円」。率は「%」
※最新予想と従来予想との比較
今期の業績予想
決算期 |
売上高 |
営業益 |
経常益 |
最終益 |
修正 1株益 |
修正 1株配 |
発表日 |
14.10-03 |
2,693 |
278 |
316 |
201 |
1.4 |
0 |
15/04/30 |
予 15.10-03 |
1,917 |
-1,357 |
-1,357 |
-1,479 |
-10.5 |
- |
16/01/22 |
前年同期比 |
-28.8 |
赤転 |
赤転 |
赤転 |
赤転 |
|
(%) |
決算期 |
売上高 |
営業益 |
経常益 |
最終益 |
修正 1株益 |
修正 1株配 |
発表日 |
2014.03 |
4,667 |
723 |
709 |
881 |
6.6 |
0 |
14/05/08 |
2015.03 |
5,139 |
408 |
463 |
327 |
2.4 |
0 |
15/04/30 |
予 2016.03 |
4,310 |
-1,500 |
-1,525 |
-1,642 |
-11.7 |
- |
16/01/22 |
前期比 |
-16.1 |
赤転 |
赤転 |
赤転 |
赤転 |
|
(%) |
※最新予想と前期実績との比較。予想欄「-」は会社側が未発表。
※上記の業績表について
- ・「連」:日本会計基準[連結決算]、「単」:日本会計基準[非連結決算(単独決算)]、「U」:米国会計基準、「I」:国際会計基準(IFRS)、「予」:予想業績、「旧」:修正前の予想業績、「新」:修正後の予想業績、「実」:実績業績、「変」:決算期変更
- ・[連結/非連結]決算区分の変更があった場合は、連続的に業績推移を追えるように、連結と非連結を混在して表示しています。連結と非連結が混在しない場合は、「連」「単」表記は省略します。
- ・決算期表記後の「*」は上場前の決算を示し、2018年以前に新規上場した銘柄では1株あたりの項目は株式分割などによる換算修正は行っていません。
- ・前期比および前年同期比は、会計基準や決算期間が異なる場合は比較できないため、「-」で表記しています。
- ・米国会計基準と国際会計基準では、「経常益」欄の数値は「税引き前利益」を表記しています。
- ・業績予想がレンジで開示された場合は中央値を表記しています。
【注意】「決算速報」「個別銘柄の決算ページ」で配信する最新の業績情報は、東京証券取引所が提供する適時開示情報伝達システム(TDnet)において、上場企業が公表する決算短信と同時に配信されたその企業自身の作成によるXBRL(企業の財務情報を電子開示するための世界標準言語)に基づいたデータをそのまま使用しています。同一の会計基準内で規則変更が行われた場合については、変更は考慮せずに比較を行っています。また、業績予想がレンジで開示された場合はレンジの中央値を予想値として採用しています。なお、この配信されたデータには、新興企業を中心に誤ったデータが配信される場合が希にあります。投資判断の参考にされる場合は、より正確な決算短信のPDFファイルを併せてご確認くださいますようお願いします。