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6634 ネクスグループ

東証S
134円
前日比
+1
+0.75%
PTS
134.1円
23:11 05/09
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
25.8 1.30 356
時価総額 39.6億円
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ネクスグループ Research Memo(8):事業再編により、営業損失の早期解消及び新事業への進出を進める(2)


■今後の見通し

2. セグメント別見通し
(1) IoT関連事業
IoT関連事業については、コロナ禍を発端とする世界的な部品調達の大幅な遅れ、先行きの不透明さから、M2M分野における設備投資の抑制などの動向については、引き続き状況を注視しながら製造委託先の継続的な管理・監督とともに、信頼できる新規製造委託先の開拓を進め、市場のニーズに対応した製品群のさらなる拡充に取り組んでいく。ネクスグループ<6634>は中国へ製造委託していることから、昨今の急激な円安や資源価格の高騰などの影響を受けている。為替については基本的に為替予約でリスクヘッジしているものの、継続的な売上原価の高騰は否めない。一方、競合他社を含めた業界全体が同じ状況であることから、販売価格に転嫁することで業績への影響は抑えられるものと弊社では見ている。

今後の動向としては、「IoT×ブロックチェーン技術」「IoT×AI技術」など、「IoT×新技術」を活用した新たなサービスの提供を目指す。IoTについては、国内外の市場に向けて今後普及が見込まれるLPWAや第5世代移動通信システム「5G」、画像認識などのAI技術といった、同社が培ってきた自動車テレマティクスソリューションをはじめとする様々な分野に対するIoT技術をベースにする考えであり、これらの独自性や強みが競争力のある製品の創出につながるものと弊社では考えている。

エッジAI端末のNCXX AI BOX「AIX-01NX」は製品の量産に着手しており、2022年秋から販売を開始する。同製品は、大量のデータを判別・収集するAI学習の「目」となる画像認識分野において、AIコンピューティングの分野で様々なプラットフォームを提供しているNVIDIA Corporationが提供するGPU(画像処理やディープラーニングに不可欠な並列演算処理を行う演算装置)を利用したリアルタイム画像認識技術と、マルチキャリア対応の高速モバイル通信技術を搭載している。リアルタイム画像認識技術は、顔認証システムや監視カメラの映像分析などのセキュリティ分野、工場ラインでの不良品検出、介護分野での見守り、河川水位監視などの防災、自動車の自動運転や運転アシストなど様々な分野に展開が期待される技術であり、デバイス事業の新たな製品開発に活用していく方針であることから、将来的な収益拡大に貢献する材料の1つになる可能性が高いと弊社では見ている。

また、データ通信端末については、第5世代移動通信システムである5Gに対応した製品の開発を開始しており、2022年後半の販売を予定している。5Gは、LTEと比べて超高速・大容量な通信で多数同時接続、超低遅を実現するもので、日本全国に基地局の展開が計画されている。ライブメディアストリーミング、エクステンデッドリアリティ(XR)、遠隔医療、建設現場の建機遠隔制御、工場のスマートファクトリ、農業を高度化する自動農場管理、自治体の河川等の監視などの建物内や敷地内でスポット的に柔軟に構築できるローカル5Gへの活用など、地域課題解決や地方創生への対象領域の拡大が期待される。開発中の製品である「UNX-05G」は、新たなチップを採用した5Gデータ端末であり、プリセールスによるキャリア・MVNO・商社を含めた顧客の反響・引き合いは順調なようだ。5Gインフラの整備はスマートフォン向けが優先されており、IoT用の製品は出揃っていない。同様の端末が少ないなかで一定の競争優位性を有しており、同事業の今後の売上増強に大きく寄与するものと弊社では見ている。

「GIGAスクール構想」においては、政府からの通信環境整備支援に割り当てられた補助枠の上限が1万円、補助率が総額の1/2となるなかで、同社製品は1万円以下で調達できるものが多く、学校側で経済的負担が生じにくいという点が大きな強みとなる。加えて、「USBをつなぐだけ」という利便性や、NTTドコモの認証を受けているUSB商品という点も差別化要因となっている。これらを背景に、「GIGAスクール構想」の潮流も同社の業績にとって大きな追い風になると弊社では考えている。なお、より長期的な目線で見ると、NTTドコモが2026年3月に提供終了するにあたって3G回線が完全廃止されるなかで同社は5G製品開発を進めていることから、各種通信機器の大規模な入れ替え需要も長期的なビジネスチャンスとして同社は捉えている。

(2) インターネット旅行事業
インターネット旅行事業については、既述のとおり2022年4月にイー・旅ネット・ドット・コムを連結対象から除外し、事業撤退した。

(3) メタバース・デジタルコンテンツ事業
メタバース・デジタルコンテンツ事業のうち、デジタルコンテンツ分野については、2022年11月期第3四半期以降に単月・累計期間ともに黒字化する見込みとなっており、今後は図書館向けや学校向けのサブスクリプション・サービスや、市場が拡大しているオーディオブックにコンテンツ投入を進めることで売上の増強を図る。一方、メタバース分野については、ポリゴンテーラー及びポリゴンテーラーコンサルティングに資本参加したほか、ワイルドマンの株式を取得し持分法適用関連会社としたことで、本格的に進出した。

同社は、メタバース・デジタルコンテンツ事業を通じてWeb3.0分野へ積極的な投資を行う方針であり、新たなM&Aについても継続的に検討している。既存事業であるIoT関連事業とのシナジー創出を見込めることから、第2の収益軸としてさらなる成長が期待できると弊社では見ている。

(4) ブランドリテールプラットフォーム事業
ブランドリテールプラットフォーム事業については、既述のとおり2022年3月にチチカカを連結対象から除外し、事業撤退した。

(5) 暗号資産・ブロックチェーン事業
引き続きAI技術を利用したトレーディングシステムの開発を継続するほか、開発に伴うトレーディングシステムの試験運用に関して、暗号資産市場の動向と資金効率を踏まえた安定的な運用を行っていく。同社が発行する暗号資産「ネクスコイン」については、「ネクスコイン」を活用した新たな商品の共同開発なども視野に入れているようで、今後の同社の事業拡大、企業価値向上に寄与すると弊社では考えている。暗号資産の価値向上にはユースケースを増やし流通を促進することが課題となることから、直近ではクシム<2345>との業務提携を開始するなどしており、利用機会拡大に向けた今後の施策に期待したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)

《YM》

 提供:フィスコ

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