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6549 DMソリュ

東証S
1,352円
前日比
+17
+1.27%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
8.9 1.33 1.11
時価総額 38.3億円

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ディーエムソリュ Research Memo(5):アルゴリズム対応とシナジー強化という課題を抱えるインターネット事業


■強みと課題、進化

1. 強みと課題
(1) ダイレクトメール事業の強み
ダイレクトメールの市場は規模が3,400億円程度あるが、微減傾向にあると言われている。また、依然として小規模な印刷業者が印刷のついでに郵便の発送を代行していることが多く、大手のディーエムソリューションズ<6549>でさえシェアが5%程度しかない。近年になってようやく集約化が進み始めたニッチな業界と言うことができる。ところで、ダイレクトメールが微減傾向にある理由は、年賀状や請求書がインターネットの普及などにより減少傾向にあるからで、同社が扱っている商用のダイレクトメールは言われるほどに縮小していない模様である。また、開封率の高さから意外と高単価商材や好景気業種に利用されることが多い。このため、一見魅力的に見えない市場だが、その市場で取っているポジションが同社の強みとなっており、同社のダイレクトメール事業の業績がダイレクトメール市場全体のトレンドと異なって堅調に推移しているのである。

さらに、そのような業界において、100人近くの営業スタッフを抱え全国規模で営業展開していることも強みで、同業の大手発送代行企業でさえ同社ほどに営業スタッフを抱えていないようである。このため同社は、5,000近い様々な業種の取引先を有し、年間45,000件を超える案件を取り扱うことができ、結果的に景気に左右されにくい体質にもなっている。また、ダイレクトメールの発送で全国屈指のスケールがあるため、ゆうメールやメール便などの発送費において強い価格競争力を有している。カスタマイズの必要性が多い中小規模の案件をメインターゲットとしているが、こうしたニーズに対して発送代行から自社デザイナーや商品企画部門による企画やデザインまで、どのプロセスでもワンストップでサービスを提供できることも強みとなっている。なお、フルフィルメントサービスでは、EC市場の急成長を享受しているうえ、上場企業の資金力を背景に余裕あるキャパシティを持つことで積極営業を下支えしている。

(2) インターネット事業の強みと課題
インターネット事業の強みは、蓄積されたSEOのノウハウ、バーティカルメディアやインターネット広告の運用ノウハウ、Webサイトの構築力にある。一方、インターネット事業の課題は、インターネット広告市場が成長はしているもののレッドオーシャン化していること、事業のボラティリティがやや大きいことにある。特にボラティリティに直結する検索エンジンのアルゴリズム変更に対しては、同社は長年ノウハウを積み上げてきているが、それでも集客が弱まることがあるため気の抜けない作業となっている。インターネット業界は日進月歩で新しい技術が開発されるため、常に新たな技術に関するノウハウを導入しサービスを拡充しないと即座に優位性が失われることになるし、インターネット広告もバーティカルメディアも検索技術の優位性が決め手となるため、定期的に行われる検索エンジンのアルゴリズム更新への対応は非常に重要な作業となっているからである。

2021年から続く同社バーティカルメディアへの顧客流入の低調は、そうした課題が顕在化したと言うこともできるが、やや趣が異なると考える。というのも、最近の検索エンジンのアルゴリズム更新ではアフィリエイトの順位が下がる傾向にあるからで、その点で、レッドオーシャン化しているとはいえコンサルティングなどを拡充しているデジタルマーケティングサービスには軽微だが、バーティカルメディアサービスにとって構造的な課題になったと言える。ところで、ダイレクトメール事業を併営していることはインターネット事業にとってシナジー発揮という点で本来は強みであり、ネットとリアルにわたる新サービスや新規事業といった新たな価値をこれまでも追求してきたはずだった。しかし、ダイレクトメール事業もインターネット事業もそれぞれが好調だったため、シナジーに向けた動きが弱かったようだ。ダイレクトメール事業との間で強いシナジーが育っていれば、こうしたバーティカルメディアサービスの課題も乗り越えやすかったかもしれない。なお、幸か不幸か両事業の顧客はオーバーラップが少ないようだ。


課題解消とシナジー強化を両立するEC関連サポートサービス
2. ビジネスモデルの進化
バーティカルメディアサービスのアルゴリズムの課題を解消するには、インターネット事業でSEOのノウハウという事業の核は持ちながら、様々に加工して周辺サービスに展開していく必要があると考える。特に、これまでメインのビジネスとして見てこなかったが、常に意識してアプローチしてきたEC領域をメインターゲットに、フルフィルメントサービスなどとのシナジーを強化しながら、EC関連サポートへとサービス領域を拡張していくことは自然な動きと言えよう。幸か不幸か、重複が少ないお互いの顧客も相互に活用できる。そうなれば、デジタルマーケティングやバーティカルメディアといったサービスを提供している企業は世に数多あるが、EC向けの物流インフラを持って在庫をハンドリングすることもできる企業は同社のみと言え、同社が目指すべきECやEC関連サポートサービスは唯一無二の強みとなり、ソリューションカンパニーとして独自のポジションを得ることになろう。

こうした考えを強力に推進するため同社は、新宿オフィスを廃止して拠点を本社に統合し、デジタルマーケティングサービスとバーティカルメディアサービスの統括役員を選任、EC事業室も新設してシナジーを発揮しやすい体制へと組織変更をした。これにより意思疎通や業務の効率化を促進し、EC関連を新たな柱として育成し拡大のスピードを速めていく方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《AS》

 提供:フィスコ

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