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2427 アウトソーシング

東証P
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時価総額 2,211億円
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アウトソシング Research Memo(7):2022年12月期上期は、売上収益及び営業利益が計画を上回る進捗(2)


■アウトソーシング<2427>の決算概要

2. 事業別の実績と主な活動
(1) 国内技術系アウトソーシング事業
売上収益は前年同期比23.2%増の710億円、セグメント利益は同20.5%増の54億円と増収増益となった。各産業におけるエンジニア活用ニーズは引き続き高く、業績の伸びをけん引しているものの、採用効率を勘案し、上期におけるエンジニア採用数を抑制※したことで売上収益は計画を若干未達となった。また、注力する「派遣2.0」については、売上、利益ともに順調に伸びてきたようだ(詳細は後述)。一方、利益面では、稼働率の上振れと募集費の抑制により計画を上回る増益を実現した。もっとも、上期に抑制した募集費は下期に投下する計画であり、通期では売上収益、利益ともに計画線で推移する見込みである。6月末の外勤社員数は24,571名(前年同期末比3,742名増/計画比929名減)と新卒採用(約2,600名)を含めて増加し、既述のとおり計画には若干遅れが生じたものの、後発ながら業界トップの水準を誇っている。

※新卒採用が多数入社する上期にエンジニア採用を行うよりも、下期のほうがフォローアップをしやすく定着率も高い傾向があり、それを踏まえた取り組みと見られる。


(2) 国内製造系アウトソーシング事業
売上収益は前年同期比21.5%増の577億円、セグメント利益は同15.5%減の30億円と増収減益となり、売上収益及び利益ともに計画を下回った。売上収益が未達となったのは生産調整の長期化が理由であるが、振替生産が見込まれるため、一過性の要因と捉えることができる。また、注力する「CSM」(派遣スタッフ管理システム)については、コロナ禍でのリモート管理ニーズの高まりを受け、想定以上の受注を獲得できたうえ、新たに共同プラットフォームの取り組みも開始した(詳細は後述)。利益面では、振替生産の本格化を見据えた積極的な採用活動の影響により費用が先行し、計画を下回る減益となったが、下期は自動車の振替生産の本格化や大型増員案件の受注により計画達成を見込んでいる。6月末の外勤社員数は27,000名(前年同期比6,874名増/計画比3,000名増)とM&Aによる増加分を含め、計画を大きく上回った。

一方、管理業務受託については、顧客メーカーの技能実習生ニーズは堅調であるものの、技能実習予定者の来日が限定的な状況が継続しており、本格的な成長軌道への回帰には遅れが生じている。6月末の管理人数は18,660名(前年同期比2,947名減/計画比460名増)と減少したものの、適切な管理実績が高く評価され、突出した業界トップ水準を維持している。

(3) 国内サービス系アウトソーシング事業
売上収益は前年同期比8.6%増の154億円、セグメント利益は同20.6%減の19億円と増収減益となり、売上収益及び利益ともに計画を下回った。景気変動の影響を受けにくい米軍施設向け事業は、新規案件の獲得も含め、全体的に堅調に推移したものの、サプライチェーンの混乱に伴う納品遅れ(建設資材等)などによる調達リードタイム長期化により工事進行に遅れが生じたようだ。利益面でも、工事進行の遅れや急激な円安の影響を受けて減益となった。今後は、資材高騰の価格転嫁を進めるとともに、大型案件の受注拡大により通期計画の達成を目指す。

(4) 海外技術系事業
売上収益は前年同期比23.8%増の774億円、セグメント利益は同47.9%増の38億円と順調に拡大し、売上収益、利益ともに計画を上回った。引き続き、アイルランド及びオセアニアが好調を維持するとともに、英国における公的債権回収事業についても、一部の債権発行に遅れがあるものの、債権ボリュームは戻りつつあるようだ。利益面でも、利益率の良い人材紹介が好調であったことから大幅な増益を実現した。

(5) 海外製造系及びサービス系事業
売上収益は前年同期比25.2%増の1,036億円、セグメント利益は同43.6%減の16億円と増収減益となり、利益面では計画を下回った。オランダではOTTOグループを中心にEC向けが引き続き伸長したほか、英国では政府向け人材紹介や地方自治体向けBPOが好調であり、南米でも物流向けや小売り向け警備事業や清掃事業が堅調に推移した。一方、利益面で計画を下回ったのは、英国における費用増(物価や賃金の上昇等)に加え、のれんの減損損失(約2.8億円)が生じたこと、オランダでの変異株対策費用などが主因であるが、のれん減損や変異株対応については一過性のものと見ることができる。

3. 2022年12月期上期の総括
以上から、2022年12月期上期を総括すると、コロナ禍の長期化をはじめ、様々な要因により不確実性の高い事業環境が続くなか、一部の事業でその影響を受けたものの、全体で見れば計画を上回る売上収益及び営業利益を実現したところは、改めて同社の収益基盤の強さを示すものとして評価することができる。特に、グローバル規模での地域や業種分散を含め、これまで取り組んできた景気変動の影響を受けにくい事業構造への転換が奏功している証左と見ることができる。一方、OTTOグループの完全子会社化に伴う金融費用の計上が最終利益の一時的な下振れ要因となったものの、財務的な不確実性や戦略的な制約から解放された点では、今後に向けてプラスの材料と見るのが妥当であろう。また、後述するように、派遣DX化を見据えた次世代ビジネスモデル(派遣2.0及びCSM)が順調に進展しているところも評価すべきポイントと言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《NS》

 提供:フィスコ

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