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4258 網屋

東証G
2,125円
前日比
+114
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PTS
2,109.9円
11:27 06/07
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
31.2 4.63 10.39
時価総額 91.0億円
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網屋 Research Memo(1):サイバーセキュリティ対策に対する社会的意識の高まりを受け、増収増益基調が続く


■要約

網屋<4258>は、サイバーセキュリティ製品やサービスを開発・製造・販売するセキュリティの総合プロバイダである。国産メーカーとしてログマネジメントサービス「ALogシリーズ」を開発するほか、通信インフラのクラウドサービス「Network All Cloud」を提供する。「SECURE THE SUCCESS.-自動化で、誰もが安全を享受できる社会へ-」というビジョンを掲げ、「安全・安心な情報通信基盤」の実現をミッションとし、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)促進を支援する。

1. 2023年12月期上期の業績概要
2023年12月期上期の業績(非連結)は、売上高1,699百万円(前年同期比20.4%増)、営業利益210百万円(同139.4%増)、経常利益268百万円(同128.7%増)、四半期純利益191百万円(同127.0%増)となり、期初会社計画(売上高1,601百万円、営業利益122百万円、経常利益173百万円、四半期純利益124百万円)を上回った。営業利益が期初計画に対して大幅に上振れしたが、これはネットワークセキュリティ事業において、販売価格の改定効果が想定以上に発現したことが主な要因である。事業別業績は、データセキュリティ事業が売上高603百万円(同10.1%増)、セグメント利益280百万円(同2.4%減)となった。上場企業や官公庁・自治体向けにサイバ―攻撃を検知するためのログ管理製品の販売が堅調に推移したが、セキュリティエンジニアの増員に伴い利益率は一時的に低下した。ネットワークセキュリティ事業は売上高1,095百万円(同27.0%増)、セグメント利益289百万円(同103.9%増)となった。エンジニアを現地に派遣せずにクラウドセンターから一括管理できる「SaaS型ネットワーククラウドサービス」の販売が好調に推移、セグメント利益も販売価格の改定効果が顕在化し、前年同期比で大幅な増収増益を達成した。

2. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期業績(非連結)見通しは、売上高3,516百万円(前期比17.7%増)、営業利益360百万円(同36.9%増)、経常利益427百万円(同41.9%増)、当期純利益297百万円(同29.7%増)である。同社では本決算発表から約3ヶ月後の5月15日に早々と通期業績予想の上方修正を発表したが、10月26日に営業案件の回復に加え、前期に実施した販売価格の値上げによる原価率の改善が想定を上回ったことを主因として再上方修正を発表した。営業利益は期初計画時点では280百万円であったが、5月15日に320百万円へ、10月26日に360百万円へと引き上げられた。また、2023年12月期の大型トピックとして、データセキュリティ事業の主力製品「ALogシリーズ」を、売り切り型のソフト販売モデルからクラウド&サブスクモデルへ完全に切り替えることで、従来とは異なる収益構造へと変換する計画が挙げられる。従来のソフトウェアライセンス売り切り型では、次年度以降に見込まれるストック売上はライセンスの約10%の保守売上のみで微増にとどまっていた。しかしながら、同社が新規顧客向けに2023年2月にリリースしたクラウド&サブスクモデルは、年間定額モデルであり、次年度以降も継続契約が必要となることから、収益構造の抜本的な改革、中長期的な売上成長率の加速が期待される。2024年春にはオンプレ版の新バージョンもリリース予定で、クラウド版と共にサブスクで供給される。既存顧客についても2024年から順次、サブスクモデルへ変更される計画となっており、今後の業績拡大の大きなけん引役となることが期待される。

3. 中期経営計画
同社は2023年3月30日に2023年12月期から2025年12月期までの3年間を対象とした中期経営計画を発表し、業績目標として、最終年度の2025年12月期において売上高6,000百万円(2022年12月期実績は2,986百万円)、営業利益600百万円(同263百万円)を目指す方針を打ち出した。対象期間中の売上高成長率(CAGR)は年率25%超と成長が大きく加速することが見込まれるが、これをけん引するため、(1) 主力製品である「ALog」をクラウド&サブスク化し収益構造の転換を図ること、(2) 「CSIRTサービス事業」、「セキュリティエンジニア養成事業」を新たに開始し、年間の売上高10億円を目指すこと、(3) セキュリティ総合プロバイダとして、必要となる構成要素に対して提携や投資を積極的に実施すること、(4) 労働者不足を解消する「SaaSインフラサービス」のストック率を55%から64%へ高めることを計画している。主力製品のサブスク化を中心としたストック売上の大幅拡大を目指しており、同社では全社年間経常収益(ARR)を2025年12月期の中期経営計画最終年度に2022年12月期比で2.3倍に設定、2020年12月期から2022年12月期3年間におけるARR成長率135%に対して、本中期経営計画期間中は180%へ伸長させる計画である。

■Key Points
・2023年12月期上期は前年同期比20.4%増収、139.4%営業増益を達成。2023年5月、10月と2度にわたって営業利益の上方修正が発表された
・2023年12月期は前期比17.7%増収、36.9%営業増益と過去最高益の更新が続く見通し
・新中期経営計画では「ALog」のクラウド&サブスク化による収益構造の転換により2025年12月期までの3年間で売上高2倍を計画

(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)

《AS》

 提供:フィスコ

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