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来週の相場で注目すべき3つのポイント:米小売決算、米ISM景況指数、中国PMI


 

■株式相場見通し

予想レンジ:上限27600円-下限27000円

来週の東京株式市場は弱含みか。米1月個人消費支出(PCE)コアデフレーターは前月比+0.6%と予想(+0.4%)を上振れ、12月修正値(+0.3%→+0.4%)からも拡大。前年比でも+4.7%と予想(+4.3%)を大きく上回り、12月修正値(+4.4%→+4.6%)と比較しても伸びが加速した。再燃したインフレ懸念が強まっており、今週半ばに一時上昇が一服していた米10年債利回りは再び4%に迫る水準にまで上昇してきている。


米国では雇用、物価、景気の多くの指標で上振れが続いており、再燃したインフレ懸念の鎮静化は容易ではないだろう。米ナスダック総合指数は200日線を下回ってきており、目先は金利高・米ハイテク株安の動きに日本株も連れ安を強いられそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが長期化し、結果として過剰な金融引き締めが浅く済んだはずの景気後退を深刻化してしまうシナリオも今後は想定され、景気敏感株も上値は重くなりそうだ。


一方、注目されていた次期日本銀行総裁候補の植田和男氏への所信聴取は無難に消化した。衆議院で行われた所信聴取において、植田氏は現在行っている金融政策は適切とした。また、現在の消費者物価上昇率の高さについては主に輸入物価上昇によるコストプッシュ型であり、2%の物価目標を持続的・安定的に達成するにはまだ時間がかかるとの見解を示した。その上で金融緩和を継続することで企業が賃上げできる環境を整えるべきと述べており、総じて安心感のある内容となった。


米経済指標の上振れと日銀金融政策の早急な緩和修正への思惑後退により、為替の円安が大きく進行している。ドル円は週末に1ドル=135円台を突破して一気に136円台半ばまで上昇、昨年12月中旬以来の円安・ドル高水準となっている。135円の節目を突破したことでドル円のトレンド転換への思惑が強まっており、来週以降は為替の円安基調が日本株の下値を支えてくれそうだ。


来週は米国で供給管理協会(ISM)の製造業・非製造業(サービス業)景況指数が、中国では製造業・サービス業購買担当者景気指数(PMI)が発表される。米ISMサービス業景況指数は1月に景況感の拡大を示す50を再び上回ったほか、先んじて発表された米2月サービス業PMIが50を回復したことで改めて強い結果が予想される。しかし、インフレ懸念に関心が集まっている中、強い結果はネガティブに捉えられそうで注意したい。また、製造業や輸出企業の比重が大きい国内の株式市場にとって重要なのは米国のサービス業よりも製造業の動向だ。ただ、米2月ISM製造業景況指数は47.8と1月の47.4よりは小幅に改善する見込みも、引き続き50割れの状態が続く予想となっている。強い米サービス業の指標と弱い米製造業の指標の組み合わせは日本株にとっては不都合である点は認識しておきたい。


ほか、米国では来週、ロウズやダラー・ツリー、ベスト・バイ、メーシーズなどの小売決算が予定されている。今週は米10-12月の実質国内総生産(GDP)改定値が下方修正され、特に米GDPの約7割を占める個人消費が前期比年率+1.4%と速報値の+2.1%から大きく下方修正された。また、ウォルマート、ホーム・デポ、ディラーズ、TJX、ダラー・ゼネラルなど米小売企業の決算も総じて冴えなかった。インフレが収まっていない反面、インフレの原因ともされている個人消費にはやや陰りが見られてきているようだ。企業の景況感が急速に悪化する一方で米経済のソフトランディング(軟着陸)期待を支えていたのは底堅い個人消費だった。しかし、その個人消費も鈍化傾向にあるとすれば、米経済の支え役が不在となる。インフレと景気の後退、スタグフレーションの懸念が再び高まっているといえそうだ。


このように外部環境の不透明感が強まる中、足元で強まっているバリュー(割安)・高配当利回り株への物色はまだ続く可能性が高い。鉄鋼や銀行など一部の関連セクターでは今週末にかけて利益確定売りが見られたが、下値では押し目買いを狙っている向きも多そうで、引き続き物色テーマとしては注目されよう。


■為替市場見通し

来週のドル・円は底堅い値動きか。米インフレ高止まりの思惑から、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ長期化を想定したドル買いが入りやすい。また、日本銀行による金融緩和政策の継続も見込まれ、リスク選好的な米ドル買い・円売りがただちに縮小する可能性は低いとみられる。1月31日-2月1日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅は0.25ptに縮小されたが、2月22日に公表された同会合の議事要旨では複数の当局者が0.50pt幅の利上げを支持していたことが分かった。


来週発表される2月消費者信頼感指数や2月ISM製造業景況感指数など経済指標が市場予想を上回った場合、FRBによる利上げ長期化の方針を後押しする材料となり、金利高・ドル高の基調を強めそうだ。米10年債利回りが一段と上昇した場合、ドル高持続が見込まれる。


一方、次期日本銀行総裁人事で植田和男元審議委員の発言内容が注目されるなか、同氏は現行の金融緩和策について適切との見方を伝えており、緩和政策を維持する可能性が示された。ただ、イールドカーブ・コントロール(YCC)について「基調的な物価見通しが一段と改善していく姿になっていけば、正常化方向での見直しを考えざるを得ない」と指摘している。


■来週の注目スケジュール

2月27日(月):日・景気動向指数(12月)、米・耐久財受注(1月)、など

2月28日(火):日・鉱工業生産指数(1月)、日・小売売上高(1月)、日・住宅着工件数(1月)、米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(12月)、米・消費者信頼感指数(2月)、米・決算発表→ロス・ストアーズ、ターゲット、など

3月1日(水):中・製造業/非製造業PMI(2月)、中・財新製造業PMI(2月)、米・ISM製造業景況指数(2月)、米・決算発表→ロウズ、ダラー・ツリー、コールズ、セールスフォース、スノーフレーク、など

3月2日(木):日・10-12月期法人企業統計、日・消費者態度指数(2月)、欧・ユーロ圏消費者物価コア指数(2月)、米・決算発表→メーシーズ、コストコホールセール、クローガー、など

3月3日(金):日・東京CPI(2月)、日・有効求人倍率(1月)、中・財新サービス業PMI(2月)、米・ISM非製造業景況指数(2月)、米・アトランタ連銀総裁が会議開会の挨拶、など

3月5日(日):中・全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開幕

《YN》

 提供:フィスコ

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