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明日の株式相場に向けて=バイデン米大統領「2つの置き土産」

 きょう(24日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比253円安の2万6748円と反落。日経平均は2万6000円台を割り込むと突っ込み警戒感からの買い戻しや押し目買いの動きが活発化する傾向にあるが、一方で2万7000円ラインを上回ってくると戻り売りが厚くなる。「セル・イン・メイ」ではないものの、5月相場はそういう曖昧な時間帯にあるようだ。

 東京市場は米国株との連動性が乏しくなっていることは確かだ。しかし、これは日本株を個別に評価しているというものでもなく、「米国株とのデカップリングはアジア株市場全般に共通して言えることで、底堅いようにみえて米国株市場が買われた時も反応が鈍い」(ネット証券マーケットアナリスト)ということになる。実際に、「足もとで外国人が日本株を買っているという感触はない」(同)という。

 前日の米国株市場ではNYダウが600ドルを超える上昇をみせ、一時は3万2000ドル台目前まで上値を伸ばした。ここで前週末20日の動きを思い起こしてみると、NYダウは一時600ドル超の下げをみせたが、取引終盤に急速に買い戻され小幅ながらプラス圏に浮上して着地していた。つまり、日足チャートでみれば、前週末に長い下ヒゲをつけ、週明けは大陽線で切り返した形となっており、目先底入れムードが出てもおかしくはないタイミングだ。また、米国株市場では月末にかけて機関投資家によるリバランスの買いが想定されるという見方がマーケット関係者の間では根強い。これらの条件を考慮して今週後半以降、米国株市場が頑強な値動きをみせる可能性を指摘する声もある。

 直近では、FRB高官のなかで数少ないハト派であるアトランタ連銀のボスティック総裁が、6月、7月に0.5%の利上げを実施した後、利上げの経済への影響を見極めるため、9月のFOMCでは利上げを一時的に据え置くのは理にかなうという主旨の発言をした。これもNYダウ反転の足掛かりとなったもようだ。25日(日本時間26日未明)に開示される5月のFOMC議事要旨の内容次第では再び波乱含みとなる可能性もあるだけに、目先ポジションを強気には傾けにくいが、仮に下押す場面があればそこは買い下がる姿勢で報われる公算が大きい。

 一方、前日の日米首脳会談でバイデン米大統領の発言が良くも悪くも話題を振りまいた。台湾有事に際し、「(米国が)台湾防衛に軍事的に関与する意思がある」と言い切った。厳密には、同じ過去形であっても“言い切ってしまった”という表現が正しいかもしれない。というのも、その後ホワイトハウスが火消しに躍起となったからだ。ただし、これは失言かもしれないが、バイデン米政権の本音といえる要素は強く、日本にとっては福音ともいうべき大いなる失言である。そして、前日の記者会見では、もう一つ事務方が慌てたバイデン発言がある。それは「対中関税の引き下げを検討している」というコメントで、これは前日の東京市場の引け際に突風(上昇旋風)をもたらした。取引終了15分前にAIアルゴリズムが反応、先物主導で日経平均を100円程度押し上げる形となった。これはAIによるニュースフローを捉えた機械的な買いであったかもしれないが、方向性は正しく、生身の人間でも対中関税の引き下げが米国のCPIを低下させる効果があるのは肌感覚で理解できる。

 もっとも、これも政権内で足並みを揃えたうえでの発言ではなかったようだ。「米通商代表部にすれば簡単に関税引き下げの可能性を示唆されては困る、というのが今の状況であり、これも大統領の勇み足だった」(ネット証券マーケットアナリスト)とする。米国の立場として、インフレをいかに深刻視していても、米中覇権争いの只中にあって中国側に無条件で譲歩する姿勢をみせてしまっては政治的に多大なダメージを負う可能性もある。穿った見方だが、米国はウクライナ侵攻に誘導してロシアを弱体化させ、中国を台湾有事に引き込んで叩くという作戦、という見解を示す市場関係者もいる。

 あすのスケジュールでは、午前中に4月の白物家電出荷額、午後には3月の景気動向指数改定値、4月の外食売上高などの発表が予定されている。また、黒田日銀総裁が国際カンファレンスで挨拶する。海外では、ニュージーランド中銀が政策金利を発表するほか、米国では4月の米耐久財受注額速報値が発表される。また、FOMC議事要旨(5月3~4日開催分)の開示にマーケットの関心が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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