イーレックス Research Memo(2):電力の調達においては外部購入だけでなく自前の発電も行う
■事業概要
イーレックス<9517>は1999年、日短エクスコ(株)の多角化の一環として「日短エナジー株式会社」として設立され、翌年に現社名に変更された。2000年に「特定規模電気事業者(PPS)」制度が創設されたのを受けて、2001年1月に経済産業省へPPSとしての届出を行い、電力小売事業を開始した。
同社の事業は、特定規模電気事業者、いわゆる新電力(PPS:Power Producer and Supplier)として、電力を卸売販売並びに需要家に対する小売販売をすることだ。従来、日本では東京電力<9501>に代表される大手電力会社(制度上は「一般電気事業者」と呼ばれる)が地域独占で電力供給を担ってきた。しかし、電力自由化の流れの中で2000年にPPS制度が創設され、同社は3社目の登録事業者として2001年から電力小売事業を開始した。
一般の小売業者が商品を仕入れて販売するように、同社にとっては電力が商品であり、電力の仕入(調達)と販売が事業のポイントだ。小売業との違いは、電力の調達においては、外部からの購入だけでなくメーカーの様に自前で発電も行っているということと、電力は一般的な商品と異なり、貯蔵ができないということだ。
電力調達の面では同社は、自社発電、発電事業者からの購入、日本卸電力取引所(以下、「JEPX」)からの購入、の3つのルートで電力を調達している。一方、電力販売においては、需要家に直接販売する小売販売と、JEPXに対する卸販売の2つの販売ルートがある。
詳細は後述するが、調達面でのポイントは自社発電と外部調達の構成をどうバランス取りするかだ。具体的には、安定供給体制の確保、需要予測、柔軟なコスト構造の実現といった点のバランス取りを考えて電源構成を決めていくことになる。販売面では、小売と卸売のバランス、小売需要家のポートフォリオ構築、販売地域の選択、販売体制・販売ネットワークの構築などの点がポイントだ。特に現時点では、2016年4月に予定されている電力の小売完全自由化への対応が、同社も含めた業界全体の最大の関心事となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
《HN》
提供:フィスコ