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【特集】大谷正之氏【中東リスク再燃、日米株急落でここからの展望は】(2) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―売り仕掛けで一時3万9000円割れも下値では押し目買い―

 週明け15日の東京株式市場は日経平均株価が急反落、朝方は700円以上の急落で3万8800円台まで突っ込む場面があった。中東での地政学リスク増大を背景に米株市場が急落し、東京市場もその影響を受けた形だ。ただ、売り一巡後は徐々に戻り足をみせるなど押し目買い需要の強さも観測された。3万9000円近辺は強気に対処すべきか、あるいは今しばらく様子を見るところか。ベテラン市場関係者2人に今後の株式市場の展望や物色の方向性などについて話を聞いた。

●「当面は一進一退か、中東リスクも意識し個別株物色の展開に」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 日経平均株価は当面は一進一退が続くとみている。イランはイスラエルに対する報復の攻撃を行った。ただ、イランはイスラエルの郊外の施設などに対して攻撃を行っており、イスラエルもその99%を迎撃したとしている。在シリア大使館が空爆されたことの報復を行ったイランと、イランからの攻撃を防いだイスラエルという形となり、両国ともにメンツは保たれた格好だ。米国もイスラエルに対して自制を迫っている。今後はイスラエルの出方次第だが、ある程度のところで状況は落ち着く可能性もある。

 中東情勢を別にすれば、米国及びこれから本格化する日本の決算動向、それに米国の金融政策に左右される展開が続くとみられる。足もとで米利下げ期待が後退していることは、円安要因で輸出株などには若干プラス要因だろう。

 今後1ヵ月程度の日経平均株価の予想レンジは、3万8500~4万円前後を想定している。日経平均株価の下値のメドは3月12日につけた3万8271円前後だろう。上値は日経平均株価の25日移動平均線がある3万9680円前後を抜けることができるかがポイントとなりそうだ。

 当面は個別株を物色する展開が続きそうだ。具体的には、株主還元に前向きな大手商社株は依然として魅力的だろう。三菱商事 <8058> [東証P]や三井物産 <8031> [東証P]など注目できる。また、岸田首相の訪米では日米が緊密に連携していくことが宣言されたこともあり、三菱重工業 <7011> [東証P]など防衛関連株が期待できそうだ。また、設備投資の活発化が期待され足もとの円安もプラスに働く機械株にも目を向けたい。DMG森精機 <6141> [東証P]やクボタ <6326> [東証P]、CKD <6407> [東証P]などが注目される。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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