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【特集】藤代宏一氏【日経平均反落の週明け、強気相場の行方は?】(1) <相場観特集>

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト)

―米株安で目先利食い誘発、ここからの日本株の勘所―

 19日の東京株式市場は売り先行の地合いとなり、日経平均株価は反落し3万3000円台前半で売り物をこなす展開となった。日本時間で今晩の米国株市場が祝日に伴う休場ということもあって、一部の海外投資家の実需買いが見込みにくいなか、先物主導で下に振らされた格好となっている。これは絶好の押し目買いチャンスといえるのかどうか。ここからの相場展望について、先読みに定評のある市場関係者2人に意見を聞いた。

●「一段の株価上昇には新たな材料必要、円高転換がリスク要因に」

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト)

 東京株式市場の上昇の要因として、第1には、国内景気が改善傾向を強め、欧米に比べて方向性がいいことがあるだろう。景気ウォッチャー調査をみても過去10年のなかでも数値は高水準にある。

 第2には、5月にかけ発表された決算も良好だったほか、自社株買いを中心に株主還元が積極的に実施され、東証によるPBR1倍割れ是正要請とタイムリーに重なり合ったことがあるだろう。

 第3には、円安の進行が製造業の比率が高い株価指数にとってプラス要因に働いた面があると思う。更に、足もとでは米国で景気後退を回避しつつインフレ鎮静化に成功する可能性が見え始めていることも追い風だ。

 海外投資家は日本株に対して買い姿勢を強めてきたが、これらの点を評価した面があるだろう。

 ただ、株価はさすがに短期的に上がり過ぎていると思う。日経平均株価が3万4000円を超えて上昇するには、新たな材料が必要に思える。企業業績の改善も、円安に支えられている面は少なくない。しかし、当面は日経平均株価が3万円割れまで下がることも考えにくく、下値はあっても3万1000円前後ではないか。

 今後考えられるリスク要因は、為替が円高に振れることだと思う。まだ具体的な姿は見えてはいないが、先行き米連邦準備制度理事会(FRB)が金融緩和方向に舵を切ったり、日銀の超金融緩和政策が出口に向かったりすると円高に振れるリスクはあるだけに、その動向には注意したい。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ふじしろ・こういち)
第一生命経済研究所経済調査部・主席エコノミスト。担当は金融市場全般。2005年4月、第一生命保険入社。08年、みずほ証券出向。10年4月第一生命経済研究所出向、同年7月内閣府経済財政分析担当へ2年間出向。12年7月副主任エコノミスト、15年4月主任エコノミストを経て現職。

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