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【市況】米国株式市場見通し:主要ハイテク企業や地銀決算に注目


 

主要ハイテク企業の決算に加えて、地銀のファースト・リパブリックやパックウェスト、ファースト・シチズンが決算を発表する予定で注意が必要だ。金融決算では引き続き預金状況などに注目したい。中堅2銀行の破綻後、金融機関救済のために設立された連邦準備制度理事会(FRB)の緊急貸し出し制度の利用は5週間ぶりに増加しており、ストレスの残存が明らかになっている。

特に預金の流出が目立ち、その存続性に懐疑的警戒感が一時広がったファースト・リパブリック銀に対しては、金融システムを保護する目的でJPモルガン、シティグループ、バンク・オブ・アメリカなどといった複数の大手銀行が合計で約300億ドルを預け入れることで合意したが、警戒感を完全に払しょくできず株価は安値圏で推移している。一方、ファースト・シチズンは当局の傘下に入ったシリコンバレー銀から暗号資産を除いた一部資産を買取ったことが好感材料となり株価は大きく上昇、過去最高値を更新した。

ファースト・リパブリックを支援した大手銀も引当金の積み増しに迫られており、金融混乱が完全に終息したとはいえず、銀行破綻リスクには依然警戒が必要だろう。ハイテク決算では高インフレによる企業のコスト削減で広告収入減や需要鈍化が想定され、冴えない決算が相場のリスクになりそうだ。

また、1-3月期国内総生産(GDP)、3月PCEコアデフレーターや1-3月期雇用コストといった金融政策を左右する重要経済・インフレ指標にも注目だ。1-3月期GDP速報値では前期比年率2.0%増と、10-12月期からの伸び鈍化が予想されているが依然プラス成長を維持する公算。また、FRBがインフレ指標として注視している3月のPCEコアデフレーターは前年比で4.5%増と、21年10月来の低い伸びが予想されている。いまだ2%目標の2倍ではあるが、仮に予想通りにインフレの鈍化基調が証明された場合には、FRBが5月連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25ポイントの利上げ実施後、利上げ停止するとの見通しが一段と強まり、相場を支えることになるだろう。逆に悪化し、6月の利上げ観測が再燃した場合は再び売り圧力になるため警戒だ。

経済指標では、3月シカゴ連銀全米活動指数、4月ダラス連銀製造業活動指数(24日)、2月FHFA住宅価格指数、S&P20都市住宅価格指数、3月新築住宅販売件数、4月コンファレンスボード消費者信頼感指数、4月リッチモンド連銀製造業指数(25日)、3月卸売在庫、3月耐久財受注(26日)、週次新規失業保険申請件数、1-3月期国内総生産(GDP)・個人消費速報、3月中古住宅販売仮契約、カンザスシティ連銀製造業活動指数(27日)、1-3月期雇用コスト指数、3月PCEコアデフレーター、4月シカゴPMI、4月ミシガン大消費者信頼感指数確定値(28日)、などが予定されている。

主要企業決算では、ハイテク関連で検索グーグルを運営するアルファベット、ソフトウエア会社のマイクロソフト(25日)、ソーシャルメディアのフェイスブック(FB)を運営するメタ・プラットフォームズ(26日)、オンライン小売りのアマゾン(27日)、が予定されている。ほか、飲料メーカーのコカ・コーラ(24日)やペプシコ、通信のベライゾン、電子決済サービス会社のビザ、技術・金融サービスのゼネラル・エレクトリック、自動車メーカーのゼネラル・モーターズ、ファーストフード・チェーンのマクドナルド(25日)、航空機メーカーのボーイング(26日)、重機メーカーのキャタピラー、通信のコムキャスト、クレジットカード会社のマスターカード(27日)、消費財メーカーのコルゲート(28日)。さらに、金融ではファースト・リパブリック(24日)、パックウェスト(25日)、キャピタル・ワン・ファイナンシャル(27日)、ファースト・シチズン(28日)、石油関連ではハリバートン(25日)、ヘス(26日)、シェブロン(28日)、航空会社ではアメリカン、サウスウエスト(27日)が予定されている。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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