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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─ 肝要なのはリスクを取る勇気!

経済評論家 杉村富生

肝要なのはリスクを取る勇気!

●セリングクライマックスに突入!

 "投げ売り"第2ラウンド突入である。いよいよ、最終局面(セリングクライマックス)か。1月25~26日のFOMC(米連邦公開市場委員会)はほぼ予想通りの内容だったが、改めてFRB(連邦準備制度理事会)の鮮明なタカ派色を嫌気した格好となっている。

 いずれにせよ、3月にテーパリング(資産買い入れ額の縮小)終了、即利上げ、早い段階でのQT(量的金融引き締め)断行はピッチが速すぎる。マーケットが脅え、身構えるのは当然だろう。

 ちなみに、リーマン・ショック後は2015年12月に利上げ、QT開始は2年あと(2017年10月~2019年7月)だった。しかも、総資産の削減は償還分の再投資停止(2年間に0.7兆ドル)のみ。今回は規模が大きい。削減額は3.5兆~4.4兆ドルになろう。もちろん、これは最悪シナリオである。

 これがそのまま通るとは思えないが、もはやフレンドリーなFRBはどこにもいない。そもそも、バイデン政権は株価に冷淡だ。これは岸田政権も同じだが……。

 外部環境の悪化を株価は一気に織り込む。いわゆる、ショック安である。NYダウの高安の値幅は24日が1270ドル、25日が1046ドル、26日が939ドルだった。振幅が極端に大きい。それに、連日の長い下ヒゲだ。経験則的には底打ちのシグナルとなる。

 日経平均株価は27日に瞬間、2万6044円の安値まで売り込まれた。この水準のPERは12.8倍、PBRは1.17倍だ。25日線とのマイナス乖離は7%超に達する。完全に、売られすぎゾーンである。とはいえ、積極的な買い手が存在しない。当面は下値模索の展開だろう。

●先人は「嵐のときは動くな」というが……?

 さて、ここでの投資戦術はどうか。先人は「嵐のときは動くな」と諭している。さらに、「落ちる短剣はつかむな」という。しかし、リスクとリターンは背中合わせだ。肝要なのはリスクを取る勇気である。ちなみに、リスクの本来の意味(ラテン語)は「勇気を持って試みる」とされている。

 狙い目は? まず、日本版ダウの犬のENEOSホールディングス <5020> を。PERは5.1倍、PBRは0.57倍だ。配当利回りは4.9%ある。エネルギー、金属など切り口多彩である。

 住友商事 <8053> のPERは5.7倍、PBRは0.78倍だ。配当利回りは5.2%と高い。株価は下げづらくなっている。バリュー株の代表的な存在である。資源・エネルギー分野に傾斜していないのが魅力だ。配当利回りが下値のカベとなろう。

 底値ゾーンの銘柄では中小企業向けIT支援のNo.1 <3562> [JQ]はどうか。株価は急落しているが、ブリッジインターナショナル <7039> [東証M]のような展開(成長)が期待される。

 このほか、直近IPOの湖北工業 <6524> [東証2]、三和油化工業 <4125> [JQ]は押し目買いの好機だろう。湖北工業はアルミ電解コンデンサー用「リード端子」、光海底ケーブルに不可欠の「光アイソレータ」では世界シェアトップを誇る。

 三和油化工業は産業廃棄物を収集、再資源化するリユース事業に注力している。液晶・半導体製造時に発生する汚泥の処理などハイテク業界にはなくてはならない企業である。環境は世界的なテーマだ。同社はその裏方として最先端を走っている。

2022年1月27日 記

株探ニュース

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