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【特集】潮流変化! 復活する「建設ICT」究極のリターンリバーサルへ <株探トップ特集>

医療ICTや教育ICTなどと同様に、建設業界もまたICT導入で変わろうとしている。建設周辺セクターは全体相場の底入れを背景に出遅れ妙味が浮上しており、ここはチャンスといえる。

―国交省が旗振り役、アイ・コンストラクション本格化で新時代の幕が上がる―

 建設業界における技能労働者の不足が顕著となるなか、国土交通省ではICTの全面的な活用などの施策を建設現場に導入することにより、建設生産システム全体の合理性を高めることを国策として推進している。測量から設計、施工、検査、維持管理に至るまでの全工程でICTを活用する「i-Construction(アイ・コンストラクション)」と銘打って取り組みを強化しており、こうした動きを背景に建設周辺株が再脚光を浴びそうな気配を漂わせている。折しも第2次補正予算案が閣議決定され、事業規模は1次補正と合わせ234兆円という巨額の経済対策が動き出す。ここは出遅れ顕著な建設セクターに目を配っておくタイミングといえる。

●“新3K”で変わりゆく業界の景色

 建設業界の「きつい、危険、きたない」という“3K”は一般的にもよく知られているが、これを国が主導する形で「給与が高い、休暇がとれる、希望が持てる」の“新3K”を目指す方向にある。業態を問わず企業のIT投資の重要性が言われているが、実はそのなかでもリアルに物を構築し続けてきた建設業界は、ICT導入による構造変化のインパクトが最も大きく出やすい業界ともいえる。

 現在はICT土工、ICT舗装工に続き、ICT浚渫(しゅんせつ)工についても全国的に導入する動きが進んでいる。トンネル工事などに比べて生産性向上が遅れている土工などの分野について抜本的な生産性向上を図ることにより、全体として技能労働者一人あたりの生産性を1.5倍に高める可能性があるという。国交省では工事入札時に、 ドローンなどによる3次元測量に始まり、3次元測量データによる設計・施工計画の作成、更にICT建機による施工、3次元測量を使った検査といった一連の技術を導入した場合において、加点することによりICT採用の動きを後押ししている。

●コマツやトプコンが先導するICT建機

 建設関連セクターのICT先駆企業としては、例えば建機最大手のコマツ <6301> は測量用ドローンやリモート操作の建機を使って施工効率化を図る「スマートコンストラクション」に積極的に乗り出していることで知られている。同社は先月から既存の油圧ショベルにセンサーやアンテナ、コントローラーなどでICT機能を後付けできる「レトロフィットキット」の販売を開始している。GPS による位置情報と3次元設計データを活用したICT建機で施工を行うことが可能となり、今後、建設現場での導入が進みそうだ。

 また、測量やGPS関連システムでグローバル展開するトプコン <7732> も建設ICTの有力な担い手だ。高精度の精密GPS受信機の製造技術を中核とした建機の制御システムなどで実績が高い。同社も昨年12月に各建機メーカーの油圧ショベルに後付けすることが可能なマシンコントロールシステムを商品戦列に加えており、国策が後押しするアイ・コンストラクションの需要を掘り起こしていく構えにある。

●3次元設計モデルが時代の流れに

 一方、建設ICTでカギを握るひとつのキーワードとして3次元設計モデルが挙げられる。建設会社の間ではコンピューター上で建造物を3次元モデリングするBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入が進んでいる。清水建設 <1803> は豊洲再開発で、600億円を投じオフィスビル、ホテルなどを建設しているが、再開発の建物はこのBIMを活用したもの。同社は同エリアで多数のカメラを設置して人や自動車の往来をデータ化する取り組みを来年にも始める計画にあることが伝えられている。この集めた情報はBIMと融合させることで仮想空間でのシミュレーションに活用できるという。こうした試みはBIMの普及と合わせ漸次加速していきそうだ。

 また、BIMの手法を土木工事に転用したCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の導入も進んでおり、3次元モデル化による施工エリアの土の量の算出や危険箇所などもコンピューター上で確認することが可能となっている。建設土木業界も3次元図面を利用して業務の効率化や品質向上を図る時代が到来している。

●リターンリバーサル本番に向け秒読み開始

 株式市場では、建設関連セクターは昨年10月下旬から年末にかけ建設コンサルティングを手掛ける企業が軒並み株価を急動意させた経緯がある。この時は台風による河川の氾濫や土砂災害などが全国各地で発生し、その復興に絡む思惑で買われた。ただ、その後はマーケットの関心がAI・IoT関連セクターに向かい、春先からは新型コロナウイルスの影響により投資マネーがテレワーク巣ごもり消費関連に流れ込んだ。建設関連は蚊帳の外で株価も大きく下値を探る銘柄が多かったが、ここにきてムードが変わってきた。

 “コロナショック”も呼び水となって既存の産業にデジタルシフトの流れが合流、農業ICT、医療ICT、教育ICTなどが強力な物色テーマと化した。そして、これまで投資対象としてマーケットの視線が向いていなかった建設周辺にもICT導入の動きを背景に新たな潮流が発生しつつある。こうなると出遅れ感のある株価は、投資する側にとって大きなアドバンテージとなりうる。究極のリターンリバーサルに向けたカウントダウンは既に始まっているかもしれない。

●見直し機運に乗る選りすぐり5銘柄はこれだ

 今回は、株高トレンド復活が期待される「建設ICT」をテーマに見直し機運に乗る有望5銘柄を厳選紹介する。

◎OSJBホールディングス <5912>

 橋梁の総合建設会社で、日本橋梁とオリエンタル白石の経営統合で発足した。高度な技術力を売り物とし、プレストレストコンクリート工法の国内草分けであるとともに、筒状の構造物を地中に埋めて基礎とするケーソン工法では業界断トツのシェアを誇る。補修・補強でも独自工法を数多く有し、特許も多数取得している。直近発表した23年3月期を最終年度とする中期経営計画では、売上高580億円(前期実績531億5800万円)を掲げるほか、配当性向40%程度を目指す。ICT技術を活用した作業の遠隔操作などロボットによる無人化施工にも積極的に取り組んでいる。株価は3月中旬に202円で底を入れた後、上昇・下落を繰り返しながらも下値切り上げ波動を形成。25日・75日移動平均線のゴールデンクロス達成目前となっており、タイミング的にも注目される。

◎アジア航測 <9233> [東証2]

 測量土木の大手で官公庁案件に強く、3次元レーザー計測による鉄道ICTソリューションやドローンを活用したビジネスに積極的に踏み込んでいる。ドローンについては、国土交通省が普及に向け規制緩和の動きを進めており、自然災害に対応した有効なツールとして産業界のニーズも高まっている。損保業界向けには首都圏直下型地震や南海トラフ巨大地震に備え、GISを活用した「地震保険共同調査効率化ツール」を開発している。19年9月期の営業利益は4割強の大幅な伸びを示したが、20年9月期中間期(19年10月-20年3月)時点で前年同期比22%増の30億1500万円と通期計画の15億円を大幅に超過している。株価は5月中旬にひと押し入れた後、再び騰勢を強めており、5日移動平均線を絡めた急勾配の戻り相場が続きそうだ。

◎シーティーエス <4345>

 建設ICTの専門企業で、ITシステムや測量機器のレンタル・販売を展開する。UAVなどによる3次元測量、測量データを使った設計、ICT建設機械による施工、そして検査と、ICT技術を全面的に活用して対応する。20年3月期は営業利益段階で前の期比17%増の18億5200万円と好調。新規顧客の開拓を進めトップラインを伸ばす一方、売上総利益の向上で2ケタ成長を達成。システム事業では建設現場事務所用モバイル回線を中心に受注を獲得し収益に反映させた。21年3月期も伸び率こそ鈍化するものの営業利益は20億円前後と増益基調が続く見通し。株価は600円台後半から700円のゾーンでもみ合いを続けていたが、ここにきて700円ラインを通過点に上値を慕う動きに転じており、追撃買いで対処して妙味が大きい。

◎応用地質 <9755>

 地質調査専門で業界首位に位置し、建設コンサルティングも展開する。地盤の内部構造を3次元に可視化した地盤モデルに仕上げる独自技術を有しており、日立製作所 <6501> と協業で同技術を活用した「地下埋設物情報提供サービス」の事業化に取り組んでいる。また、トヨタ自動車 <7203> やKDDI <9433> と連携してICTを全面的に活用した「自治体向け災害対策情報提供システム」にも期待がかかっている。20年12月期は売上高が前期比2%増の550億円、営業利益が同16%増の30億円を予想。更に21年12月期に売上高650億円、営業利益率10%、ROE6%以上を目指す中期経営計画を掲げている。株価は新型コロナウイルスの影響もあって年初から大幅に調整したものの4ケタ大台を割ることはなかった。依然として1株純資産の半値水準にあり水準訂正余地は大きい。

◎建設技術研究所 <9621>

 河川や道路の調査に強みを持つ総合建設コンサルタントで、ICTによる防災・減災でも実力を発揮する。災害時の状況把握などICTを駆使した防災活動支援システムや、高度道路交通システム技術を活用した情報集約など幅広く対応する。政府が推進する国土強靱化計画に絡み受注残も高水準で、19年12月期の営業4割増益に続き20年12月期も前期比3%増の44億円と利益成長を確保する見込み。AI・IoT、ロボット、ビッグデータ解析などの社会実装に対応してAIベンチャーへの出資を含め技術革新に前向きに取り組んでいる。株価は派手さこそないもののジリジリと水準を切り上げる展開で75日移動平均線との下方カイ離を解消。PER8倍台、PBR0.8倍台の時価は依然割安感がある。浮動株比率が低く、信用買い残も枯れた状態で株式需給も良好だ。

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