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【特集】EG Research Memo(1):2018年9月期は4業務すべて好調、2ケタ増収増益。フィリピンを拠点に海外市場へ

イーガーディ <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

イー・ガーディアン<6050>は、SNSやソーシャルゲームの運営者向けに監視や顧客サポートなどのサービスを提供する総合ネットセキュリティ企業である。1998年にコンテンツプロバイダとして誕生し、インターネット業界の創成期に様々な新事業を手掛けるなかで2005年に掲示板投稿監視事業に一本化し、イー・ガーディアン株式会社に商号変更した。2010年に東証マザーズに上場してからは、ネット監視事業のイーオペ(株)※1、
人材派遣業の(株)パワーブレイン※2、デバッグ事業※3のトラネル(株)、(株)アイティエス、セキュリティ事業のHASHコンサルティング(株)※4をグループ化し、E-Guardian Philippines Inc.を設立するなど事業領域を拡大し、“総合ネットセキュリティ企業”としての基盤を確立した。現在は関係会社5社、国内外14都市に20拠点を持ち、1,241名の従業員(うち臨時従業員数916名)を抱える企業グループとなっている。2016年9月に東証1部に昇格した。

※1 イーオペは現在のイー・ガーディアン東北(株)
※2 パワーブレインは同社により吸収合併
※3 デバッグ(debug)とは、コンピュータプログラムに潜む欠陥を探し出して取り除くこと
※4 HASHコンサルティングは現在のEGセキュアソリューションズ(株)


1. 事業概要
主力事業は、ソーシャルサポート事業とゲームサポート事業である。ソーシャルサポート事業は、投稿掲示板やブログ・SNSなどのコミュニティサイトなどを対象に監視・カスタマーサポート、運用、分析といった多種多様な業務を代行する。厳選された人材による監視サービス(有人監視)が基本であるが、その効率を上げるために専門特化した監視ツール(システム監視)も併用される。独自開発されたAI(人工知能)システムにより低コストかつ高品質なサービス提供をするうえで武器になっている。LINEカスタマーコネクト関連サービスや仮想通貨取引の本人認証サービスも加わり、時代とともに監視系業務からカスタマーサポート系業務にシフトしている。

ゲームサポート事業は、オンラインゲームを運営するクライアントに対し、問い合わせ対応を始めとする運営をサポートするとともに、デバッグ等の周辺業務も請け負う。ゲームをリリースする前に行うデバッグ作業からリリース後の問い合わせ対応までをワンストップで提供できる体制を整え、他社との差別化を狙う。両事業を合わせて売上高全体の72.7%を占める。

2. 業績動向
2018年9月期通期の連結業績は、売上高が前期比16.5%増の5,902百万円、営業利益が同28.1%増の1,039百万円、経常利益が同24.8%増の1,049百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同28.5%増の736百万円と大幅な増収増益となった。売上面では、すべてのセグメントが順調に拡大。特に成長著しいのはゲームサポート事業である。モバイルゲーム・ソーシャルゲームの市場が順調に拡大するなか、アジア系など海外ゲーム企業の日本参入・海外参入に伴う多言語カスタマーサポート業務が成長ドライバーとなった。またソーシャルサポート事業では、仮想通貨関連のワンストップサービス(脆弱性診断、本人認証業務、不正取引の監視など)の受託が伸びた。利益面では、業容拡大に伴い人件費やオフィス費用などが増加したが、増収効果が上回り大幅増益となった。2017年11月に本格稼働した海外子会社E-Guardian Philippinesが1年目にして黒字化を達成したことも想定以上だった。

2019年9月期通期の連結業績予想は、売上高が前期比15.2%増の6,801百万円、営業利益が同11.5%増の1,159百万円、経常利益が同12.4%増の1,179百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同10.6%増の814百万円と引き続き2ケタの増収増益を計画する。同社の事業を取り巻く市場環境は引き続き良好だ。ソーシャルサポート事業においてはソーシャルメディアや仮想通貨などの進展に伴うリスクの表面化が追い風。仮想通貨関連の本人認証業務の実績は、シェアリングエコノミー業界やCtoC業界関連での同様の業務にも生かされる。脆弱性診断・デバッグから本人認証、そして取引監視・カスタマーサポートまでを一気通貫で担える総合ネットセキュリティ企業である同社の活躍の場も増えていると推察される。モバイルゲーム市場(ゲームサポート事業)も市場成長は衰えていない。特にゲーム企業のグローバル展開を多言語で行うニーズは高まっており、同社のフィリピンの拠点はさらに大きな役割を果たしそうだ。2019年9月期通期の売上高計画は前期比15.2%増(前期実績は同16.5%増)と前期並み。営業利益に関しては同11.5%増(前期実績は同28.1%増)と抑え目の予想である。大きな波乱がなければ、期初予想を上回ってくることが想定される。

3. 成長戦略
同社の強みは、新領域のサービスを続々と開発し成立させることできることである。多様なサービスを展開できる理由としては、ノウハウの横展開が勝ちパターンとなっていることが挙げられる。仮想通貨の本人認証サービスをいち早く立ち上げて成功させた同社だったが、今後はシェアリングエコノミー業界やCtoC業界での本人認証サービスに本格参入する。また、両業界ともに不正取引の監視ニーズも存在し、この点でも横展開が可能だ。

2017年11月に本格稼働した海外子会社E-Guardian Philippinesは1年目にして黒字化を達成し、ニーズの高さを証明した。フィリピンの拠点の強みは、英語に対応できることと、低コストで受注できることである。世界に目を移せば、世界のゲーム市場は大きく成長性も高い。2017年の市場規模9.9兆円から2021年には15.6兆円になると予測される。同社では、脆弱性診断からデバッグ、投稿監視、カスタマーサポートまでを一気通貫で行える総合セキュリティ企業の特長を生かして、拡大するグローバル企業へのサービスを拡大する。

■Key Points
・主力はゲームサポートとソーシャルサポート。人とシステムによる低コスト・高品質なサービスが強み
・2018年9月期は4業務すべてが好調、2ケタ増収増益。海外ゲーム企業向けサポート、仮想通貨関連が伸長
・ノウハウ横展開により新領域のサービスを続々と開発。フィリピンを拠点に拡大する海外市場へ注力

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《SF》

 提供:フィスコ

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