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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「買いに片寄る」

株式評論家 富田隆弥

◆猛烈な世界同時株高となってきた。三角保ち合いを上放れた日経平均株価は、総裁選の9月20日に向けて“忖度相場”を演じて上昇するイメージはあったものの、9月10日からわずか7日間で1500円超も急伸するとは想定外だった。19日に高値2万3842円をつけ1月高値2万4129円にあと287円に迫ってきたが、米国NYダウが20日に1月高値2万6616ドルを突破したことで日経平均の年初来高値更新も時間の問題になってきた。

◆ただし、日米ともに言えることだが、直近の上昇ぶりは少々「出来過ぎ」。新規の買いと売り方の買い戻し、さらに損失回避のための買いなど現物と先物市場で買いが集中した結果とみている。もし、そうであるなら、買いに片寄った相場は当面のピークを迎えることになる。

◆日本では14日にメジャーSQがあり、その前後の先物市場でショートカバー(買い戻し)やストップロスオーダー(損失回避のための先物買い)が活発に出たと思われる。それに伴い9月7日時点で1兆4432億円まで解消を進めていた裁定買い残が14日までの1週間に3189億円増加し、直近21日までの週にはそれを上回る裁定買いが入ったと思われる。それとは別に、自民党総裁選を控えて日銀や年金、証券会社などが「株高」に尽力したことも想定される。

◆米国は24日から対中貿易制裁の第3弾(2000億ドル分)の発動を決めた。上乗せ課税の年内10%(来年から25%)を評価する声も出ていたが、懸念要因の一つがひとまず形をつけたことで「出尽くし」として売り方が買い戻しを急いだ節が見られる。12日のアップル新製品発表と中間選挙予備選終了も買い戻しを誘うキッカケになった可能性があり、そうした好需給がNYダウ上昇の主因だろう。

◆出来過ぎの株高だが、日米とも日足のテクニカル指標は過熱を帯びている。日経平均は3月26日安値から、NYダウは4月2日の安値から間もなく半年を迎えるが、週足は26週目の変化日のタイミングに当たる。日本では自民党総裁選が安倍首相の3選で決着し、日銀金融政策決定会合(19日)も終わり、“忖度”の役目は一巡しよう。米国では11月6日の中間選挙で大きな区切りを迎えるが、今月の21日メジャーSQや26日FOMC(連邦公開市場委員会)、10月のヘッジファンド決算をにらんで早目に一区切りをつける可能性もある。

◆流れに従うのが相場の鉄則であり、切り上げ続けるナスダック日足の下値抵抗線への注視は必要だが、人気が片寄る出来過ぎの地合いだけにここからはピークアウトの気配にも細心の注意を払っていきたい。

(9月20日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ


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