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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「買いはまだ急がず」

株式評論家 富田隆弥

◆記録的早さで梅雨明けした日本列島。東京で6月から10日連続の真夏日を記録したかと思えば、数年に一度という大雨「キロクアメ(記録的短時間大雨情報)」が各地を襲う。異常気象が常態化しており、身を守る備えやいざという時の心構えをしておくことが必要だろう。

◆さて、マーケット。米国が中国製品に制裁関税を課すという「6日」が当面の焦点だが、トランプ大統領のことだから報復合戦は落ち着きどころを引き出させて決着することも想定される(本稿執筆は6月5日)。そうなれば、米中懸念で売られた株価は反発するだろう。だが、日本株も米国株もチャートは軟調傾向にある。夏休みシーズンに入ったこともあり、日本株、米国株ともチャート好転を確認するまで買いは慌てる必要もなさそうだ。

日経平均株価は7月にいきなり4連敗でスタート(5日終値2万1546円)。5日は一時2万1462円まであり4日間で840円も急落、TOPIXに続きチャートを崩した。日足は75日移動平均線(2万2176円)や200日移動平均線(2万2138円)、一目均衡表の「雲」下限(2万1698円)を軒並み割り込み、週足も52週移動平均線(2万1726円)を割り込んだ。

◆チャートは2万3000円処のダブル・トップから陰転し、調整入りを暗示。週足は1月23日2万4129円高値を残したままで、3月26日安値2万0347円までを「一段下げ」とすると、5月21日の戻り高値2万3050円から「二段下げ」が始まった可能性は否めず、その場合の下値計算値はN波1万9268円、V波1万7644円となる。

◆5日に新安値銘柄は548を数えた。騰落レシオなど日足テクニカルが底値圏となり、週足が52週移動平均線に差し掛かったことから、日経平均はそろそろ反発してもおかしくない。だが、少なくとも2万2400円近辺にある25日移動平均線を上抜かねば好転の兆しは出ない。

◆3兆3100億円(6月29日現在)と高水準の信用買い残は評価損を抱えており、高値期日の7月23日にかけて投げ(売り)をさらに加速させる可能性もある。調整最終局面では新安値銘柄が700~800を数えることは珍しくないが、セリングクライマックスのケースでは1000を越すこともある。それだけに、重要変化日と高値期日の重なる7月後半にかけて需給環境は厳しく、下落への注意は怠れない。

NYダウ平均(3日2万4174ドル)も1月高値(2万6616ドル)を残したまま、直近は200日移動平均線(2万4343ドル)を割り込むなど軟調が続く。こちらも2万4700ドル近辺にある25日移動平均線を突破しなければ好転の兆しは出てこない。

◆NYダウやナスダックはリーマンショクから10年にわたり三段上げで最高値を大きく更新した。それだけに、もしもの下落に備えるのも無意味ではない。

(7月6日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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