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【特集】大塚竜太氏【米中貿易摩擦で揺らぐ市場、サマーラリーはあるか】(1) <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―7月相場へ舞台が回る、ここでの投資戦略と為替の読み筋―

 週明け25日の東京株式市場は薄商いのなか、日経平均株価は続落となった。トランプ米政権が相次いで打ち出す保護主義政策に振り回される形で引き続き買い手控え感が強い。為替も1ドル=109円台半ばの推移と円高に振れており、再びリスク回避の流れが意識されている。6月相場はあす実質最終売買日を迎え、7月相場へと移行することになるが、果たして夏本番に向けサマーラリーは期待できるのか否か。また、カギを握る為替の動向も気になるところで、それぞれ専門家に意見を聞いた。

●「7月中旬以降は視界が晴れる」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 東京株式市場はトランプ米大統領のなりふり構わぬ保護主義政策に辟易(へきえき)している、というのが大方の見方だが、実質的には思惑先行による売り圧力に振り回されている要素が強い。短期的に見れば、すっきりと視界が晴れる展開とはなりにくいだろう。ただ、7月6日に米国による対中制裁関税(500億ドル相当、うち340億ドル分)が発動される見込みだが、この日程に前後して全体相場への風向きも変わるとみている。

 基本的に企業のファンダメンタルズは良好であり、ここは信じてよい。4-6月期の決算が7月後半から本格化するが、それを睨んで好業績銘柄を中心に投資資金が回る形を想定している。(スマートフォン販売変調で売られた電子部品株が戻りに転じたように)今は下値を探る動きを強いられている自動車や電機株なども、早晩再評価される公算が大きい。空売りの買い戻しも予想され、全体指数の戻りに反映されそうだ。また、株価指標面で割安に放置されているバリュー株についても見直しが進むと考えており、メガバンクなどはその典型として相場のセンチメント改善に貢献するとみている。

 日経平均はここから下押したとしても下げ幅は限定的で、2万2500円以下は基本買い場との認識で対処したい。7月後半には2万3500円前後への戻りが期待できる。

 このほか、6月12日の米朝首脳会談で合意に至った北朝鮮の非核化に向けた具体案がどうなるかについては注視したい。場合によっては地政学リスク再燃につながる可能性もないとはいえず、その点は用心しておく必要がある。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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