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【特集】高橋春樹氏【今年も大詰め 第一線のプロが見極める年末年始相場】(3) <相場観特集>

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

―切り返し鮮烈! 大勢上昇トレンド復帰のその後を読む―

 12月も中旬に入り、年の瀬も押し詰まってきた印象が強い。日経平均株価は6日に445円安と今年最大の下げ幅をみせ投資家心理を動揺させたものの、その後はバランスを立て直し再び上値指向を強めつつある。ただ、日経平均2万3000円近辺は売り圧力も強く油断はできない。個別銘柄の物色対象も微妙に変化を続けており、流れに乗るのは見た目以上に難しい地合いともいえる。そこで、経験豊富なベテラン・マーケット関係者3人に年末年始相場をどうみているか改めて意見を聞いた。

●「日経平均は年末2万4000円目指す」

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

 週明け11日の東京株式市場は、前週末の米株式上昇や外国為替市場での円安・ドル高進行を好感し買い優勢の展開となった。日経平均は、前週末比127円65銭高の2万2938円73銭と高値引けで3日続伸し、11月7日以来ほぼ1ヵ月ぶりに終値ベースの年初来高値を更新した。今後も買い意欲は旺盛とみられ、11月9日につけた取引時間中の高値2万3382円15銭を早い時期に更新し、年末までには2万4000円台乗せを目指した展開が期待できそうだ。

 株価上昇の基本的な背景は、企業業績の好調さにある。17年4-9月期の中間決算発表時点で、多くの企業は下期(17年10月-18年3月)の業績見通しをかなり慎重に想定しており、18年3月期通期業績が上方修正される可能性が濃厚だ。例えば、上期の増益率が前年同期比20%増の実績だった場合、下期は同10%増程度に見込んでいるケースが多い。現在は、この下期の上方修正分を株価に織り込んでいるようだ。

 現在は、リーマン・ショック前の2007年度の好況期の業績水準を既に上回っている。07年度当時の円相場は1ドル=120円台だったことを考慮すると、足もとの1ドル=110円台で、07年度を上回る高水準の利益を計上している背景には、企業の体質改善の進捗が見て取れる。

 さらに、特徴的なのは、内需系・バリュー系企業の業績が予想以上に好調なことだ。したがって、円相場の変動に左右されずに継続買いされる主力銘柄が増加することになる。業績好調や、自社株買いなどの株主還元の積極化によって、来期(19年3月期)には自己資本利益率(ROE)が10%を超える企業が増加することになり、海外投資家にとっても魅力的な投資対象となりそうだ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。

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