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【特集】大谷正之氏【閑散相場が終わった後には何が待つ?】(3) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―いつまで続くエネルギー不足の地合い、心構えを聞く―

 企業の決算発表たけなわで、好業績銘柄を中心に個別物色が派手に展開されているようだが、全体的には市場参加者不足のなか閑散相場の色が濃い。日経平均株価は2万円大台を回復したものの、以前のように一気に上値をとりにいくような気勢が感じられない。投資家にとっても斜に構えるよりほかない地合いといえるが、果たしてプロのマーケット関係者の目に今の相場はどう映っているのか。第一線で活躍する市場関係者3人に意見を聞いた。

●「高値圏での推移ながら上値の重い展開に」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 8月の東京株式市場は、大きく下げるリスクは限定的となる一方、上値を買い上がるエネルギーにも乏しく、高値圏での推移ながら上値の重い展開を想定している。4-6月期決算の発表が一巡し、多くの上場企業や機関投資家、個人など国内投資家がお盆休みとなることから、手掛かり材料難のなかで売り買いともに手控えムードが強まりそうだ。

 決算の内容は、総じて事前の想定に比べて良好な結果になったと判断している。今後、アナリストをはじめとした市場関係者が、決算や業績見通しの内容を詳細に吟味して見直し買いを積極化する場面もありそうだ。下値のリスクは、外国為替市場での円高・ドル安進行に連動して考慮しなければならないが、足もとの1ドル=110円台後半前後での落ち着いた推移となれば、下値不安は軽減されそうだ。

 物色対象としては、AI(人工知能)IoT(モノのインターネット)自動運転ビッグデータロボット、スマートサプライチェーンなど新産業の成長戦略をリードする技術革新に関連した銘柄に関心が集まりそうだ。

 個別銘柄では、広い意味での化学セクターの銘柄を見直したい。まず、注目したいのがバンパーなど自動車向け樹脂部品を製造しているダイキョーニシカワ <4246> だ。同社は、広島県に本社を構えており、マツダ <7261> が主要取引先。今回のトヨタ自動車 <7203> とマツダの資本・業務提携で、ダイキョーニシカワのビジネスチャンスが広がる可能性がある。戸田工業 <4100> は、需要が急拡大しているリチウムイオン2次電池正極材料に加えて、スマートフォン向けなどで電子機器からの放射ノイズを抑制するフレキシブルフェライトシートでも注目。さらに、有機EL材料の正孔輸送材などを生産している保土谷化学工業 <4112> も見逃せない。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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