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【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:FBI前長官公聴会、米雇用統計、中小型株物色

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■株式相場見通し

予想レンジ:上限19800-下限19500円

来週は、より米国の動向を睨みながらの相場展開になりそうである。FBIのコミー前長官は、30日以降に上院情報委員会の公聴会で証言する予定でもあり、改めてトランプ政権の政治混乱リスクへの警戒が重しになる可能性がある。その他、米雇用統計など重要指標の発表も予定されている。

足元の底堅い値動きから先高観は強いだろうが、FOMC議事録で6月の利上げが決定的となるなか、米雇用統計等での反応も限られる可能性がある。また、G7サミットでは、米国第一主義に基づき保護主義的な主張を繰り返しているトランプ大統領が、貿易赤字を問題視し公正な貿易の実現を目指す考えを示している。輸出が不利になるドル高を改めてけん制してくるなか、円安には振れ難いだろう。雇用統計等への期待もあるものの、円安に振れづらいなか、日本株への支援材料は限られる状況。そのため、日経平均は2万円目前での足踏みが続くことになり、資金の流れは中小型株に向かいやすいとみておきたい。

とはいえ、中小型株についても業績を評価する動きとはいえ、一部の銘柄に集中する流れが続いており、過熱感が警戒されるところ。良好な需給状況のなかで弱気になる必要はないものの、資金の逃げ足の速さが強まりやすく、やや慎重姿勢が必要といったところ。相対的に出遅れている銘柄やテーマ株での水準訂正を狙った流れが意識されてきそうだ。また、仮想通貨の荒い値動きが話題となるなか、ブロックチェーン関連などには、思惑的な資金が向かいやすいとみられる。

一方で、米アップルを筆頭にハイテク株の強い値動きが続いているが、台湾TSMCが試験的に生産したプロセッサが品質基準を満たしていないと伝えられている。有機ELに組み込まれる指紋センサーに関する問題も遅れていると伝えられるなか、アップル関連には強弱感が対立しやすい。

その他、先日ソフトバンクG<9984>が出資したNVIDIAは、ミレニアル世代の投資家が最も多く保有しているといわれている。一方で、ヘッジファンドから最も多く空売りされているともされており、機関投資家などから下落傾向がある銘柄と見なされてきたと伝えられている。ハイテク株の動向に変化がみられてくるようだと、より日経平均の2万円回復への妨げになりそうだ。そのため、トランプ政権の落ち着きとともに、財政政策等への期待を背景とした金融株の復活が待たれるところだろう。



■為替市場見通し

来週のドル・円は、6月13-14日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向け、経済指標が堅調なら連邦準備理事会(FRB)による追加利上げ観測が高まりそうだ。しかしながら、6月利上げは想定内の動きであり、昨年11月の大統領選でのトランプ陣営とロシアとの関係を巡る疑惑は払拭されていないため、リスク選好的なドル買いは抑制される可能性がある。


■来週の注目スケジュール

5月29日(月):ユーロ圏マネーサプライ、ドラギECB総裁講演
5月30日(火):家計調査、米個人所得、ユーロ圏景況感指数
5月31日(水):鉱工業生産指数、中製造業PMI、米ベージュブック
6月 1日(木):法人企業統計調査、中財新製造業PMI、米ADP雇用統計
6月 2日(金):米貿易収支、米雇用統計

《TM》

 提供:フィスコ

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