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【特集】植木靖男氏【減速“トランプ相場”、上昇トレンド復帰はいつ】(1) <相場観特集>

植木靖男氏(株式評論家)

―市場関係者に聞く上値指向の季節「4月相場」の行方は―

 名実ともに4月新年度相場入りとなった3日の東京株式市場では終始買いが優勢の展開だったが、1万9000円近辺は戻り売り圧力の強さも意識された。昨年11月以降、米国株市場で圧巻の上昇劇を演じてきたトランプ相場も、ここにきてその勢いは明らかに減速している。4月は例年上値指向の強い月だが、今年は若干懐疑的なムードが漂う。当面の東京市場の見通しについて、相場の機微を知りつくしたベテラン市場関係者2人の見解をまとめた。


●「1万8000円台の押し目を買い下がる方針」

植木靖男氏(株式評論家)

 週明けの東京株式市場は買い優勢の展開となったが、前週後半に目先の需給要因が引き金となって下げが大きかったことを考えると、切り返しに転じるのは半ば予想されたところだった。きょうの相場を見る限り投資家の不安を払拭するような戻り足ではなかった。トランプ政権に対する警戒感がほどけないことには、上昇トレンドへの復帰は難しい。

 具体的には現在、米議会で審議されている暫定予算が4月28日までに決定しないと、政府機関が閉鎖されるリスクが出てくる。実際は何とか成立に漕ぎつけることになるのであろうが、この経過を見極めたいというニーズが市場には強い。また、今月はフランス大統領選も控えている。極右政党のルペン氏が大きく票を伸ばすようだと、今後の反EUの火種となるだけに注意が必要だ。

 さらに、今週に限って言えば週末7日に3月の米雇用統計発表がある。米国経済は順風満帆といってよいが、“良くて当たり前”の状況になっているため、仮に市場コンセンサスを下回るようだと、トランプ政策に対する懐疑的な見方と相まって、米株市場は下値リスクが大きく高まる可能性があるとみている。

 東京市場は、米株市場だけではなく外国為替市場の動向も横目に気迷いの相場が続く。日米金利差を考慮すれば急激な円高は考えにくいが、それでも米金利上昇に歯止めがかかっている現状では、1ドル=110円台を割るかどうかの仕掛け的なドル売り円買いがあっても不思議ではない。日経平均株価はテクニカル的に1万8600円近辺を下値メドと考えており、基本的に噴き値を買わず、押し目を買い下がる方針で対処したい。

 物色対象は中小型株が中心。新年度入りで本来なら東証1部の主力株の戻りに期待したいのはヤマヤマだが、日経平均は戻っても1万9500円近辺が大きな壁であまり妙味はなさそうだ。また、全体指数が過去最高値圏を快走する東証2部銘柄や、IPO銘柄の宝庫であるマザーズやジャスダックなど新興市場に物色資金が集まりやすいとみている。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(うえき・やすお)
慶応義塾大学経済学部卒。日興証券(現SMBC日興証券)入社。情報部を経て株式本部スポークスマン。独立後、株式評論家としてテレビ、ラジオ、週刊誌さらに講演会などで活躍。的確な相場見通しと独自の銘柄観に定評がある。

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