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【特集】檜和田浩昭氏【10月相場、経済政策本格化で流れ変わるか】(3) <相場観特集>

檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)

― 一億総活躍社会実現、TPP早期発効への期待は?―

 26日の東京株式市場は、前週末の米国株安や外国為替市場での1ドル=100円台への円高進行を嫌気して幅広い銘柄に売りが出て、日経平均株価終値は、前週末比209円46銭安の1万6544円56銭となった。こうしたなか、きょうから臨時国会が招集され、安倍政権による「一億総活躍社会」の実現や、環太平洋経済連携協定(TPP)の早期発効と、それに備えた農業改革など喫緊の課題が前進する。こうした経済政策の本格出動を背景に、第一線の市場関係者に10月相場の見通しを聞いた。

●「13週・26週のGC達成で中期先高に期待」

檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)

 きょうから臨時国会が招集された。TPPの早期発効は米国など他の参加国の動向もあるため困難を伴う。半面、政府が8月2日に決めた事業規模28兆円の新たな経済対策は、この臨時国会から具体化することになる。名目GDP(国内総生産)600兆円に向けた次期の「日本再生戦略」を実現に移すことになる。なかでも、2020年の東京五輪開催に向けた再開発や、それに伴うインフラ整備関連、女性が活躍可能な社会を目指した子育て支援や介護支援関連の銘柄に関心が集まりそうだ。

 さらに、10月相場で注目したいのは、日銀の上場投資信託(ETF)買い入れ限度の見直しを受け、年間買い入れ額5.7兆円のうち7割程度が東証株価指数(TOPIX)型の買い入れになることだ。時価総額の大きいトヨタ自動車 <7203> や、大手銀行をはじめバリュー系の大型株を物色対象として注目したい。

 テクニカル面では、日経平均の週足チャートで、先週に26週移動平均線(1万6411円=23日)を13週移動平均線(1万6440円=同)が下から上抜くゴールデンクロス(GC)が達成されたことに注目。これで、日経平均が中期的な上昇相場に復帰する可能性が出てきた。13週と26週のGCは、14年7月以来2年2ヵ月ぶりとなるが、26週線が横ばいか上昇でのより信頼度の高いGCは、12年10月でアベノミクス相場がスタートした時期以来のこととなる。

 今後の日経平均は、下値は限定的と判断しており、最も売られても1万6000円台は堅持しそうだ。上値は、5月31日の高値1万7251円を奪回して10月末までには、1万7500円台乗せが期待できそうだ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株 と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長を経て2015年11月から現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会 検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。

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