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【通貨】為替週間見通し:ドル・円はもみあいか、日銀の追加緩和見送りで円高も

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドルは堅調推移、米指標改善や日本の大型景気対策などが好感される

先週のドル・円は堅調推移。英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が決まる直前のドル・円の高値(6月24日の106円84銭)を突破し、21日の東京市場で6月上旬以来となる107円49銭まで買われた。政府が新たにまとめる経済対策は20兆円を超える規模になると報じられたが、これに伴って日本銀行による国債買い入れ額の増額などを含めた追加緩和への期待が広がったことがドル上昇につながった。米経済指標の改善によって9月利上げ観測が浮上していることや米国株式の堅調地合いもドル相場を下支えした。

日本銀行の黒田総裁が英BBCラジオ4の番組で発言した内容を巡ってドル売り・円買いが優勢となり、ドル・円は21日のロンドン市場で105円台前半まで売られる場面あった。報道によると、黒田日銀総裁は6月21日の英BBCラジオ4の番組で、「現在の制度的枠組みを考えると、現段階でヘリコプターマネーは必要性も可能性もない」と語った。インタビューは6月17日に収録されていた。

しかしながら、先週発表された米経済指標の多くは改善を示しており、ドルの押し目買い興味は後退しなかった。週後半はユーロ、英ポンドに対するドル買いがやや優勢となり、ドル・円の取引にも影響を与えた。ドル・円は106円06銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:105円16銭-107円49銭。

■ドル・円はもみあいか、日銀の追加緩和見送りで円高も

今週のドル・円は、日米金融政策にらみとなり、基本的にはもみあう展開となりそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)が26-27日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では、現行の金融政策が維持される見込み。声明内容を点検し、追加利上げ時期を探ることになりそうだ。政策金利の現状維持は織り込み済みのため、金利据え置きを受けてドル売りが強まる展開は想定しにくい。

日本銀行が28-29日に開く金融政策決定会合では、量的・質的緩和の持続可能性に懸念があるとの見方から、追加金融緩和は今回も見送られそうだ。政府による経済対策の効果を高めるために追加の緩和策を導入するとの見方は少なくないため、金融政策の現状維持が決まった場合、円買いがやや強まる可能性がある。ただし、29日発表される4-6月期の米国内総生産(GDP)が市場予想を上回った場合、米国株の堅調地合いは持続し、9月利上げの思惑が広がることから、ドル買い・円売りが活発となる展開もあり得る。

【米企業決算】(25日以降)
アップル、ツイッター、フェイスブック、アマゾンなど4-6月期の米企業業績が材料視されそうだ。有力企業の業績がアナリスト予想を下回った場合、ドル相場を圧迫する一因となる。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(26-27日開催予定)
米連邦準備制度理事会(FRB)による9月利上げ期待が浮上しているが、7月は見送りの公算。金利据え置きは織り込み済みのため、ドル相場への影響は限定的とみられる。声明内容を点検し、追加利上げ時期を探る展開となりそうだが、早期利上げの必要性が示されなかった場合、年内の利上げは1回にとどまるとの見方が広がり、ドルの上値はやや重くなる可能性がある。

【日本銀行金融政策決定会合】(28-29日開催予定)
日銀内で量的・質的緩和の持続可能性に懸念が広がりつつあると一部で報じられていることから、28-29日開催の金融政策決定会合では現行の金融政策維持が賛成多数で決まる見込み。それでも緩和期待は市場の一部に残されており、金融政策の現状維持が決まった場合はやや円高に振れる可能性がある。

【4-6月期米国内総生産(GDP)】(29日発表予定)
1-3月期は前期比年率+1.1%で、4-6月期は+2.6%と予想されている。想定通りの堅調な内容だった場合、米年内利上げ観測は強まり、ドル買い要因となる。

《FA》

 提供:フィスコ

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