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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 7月第4週が正念場か

株式評論家 植木靖男

「7月第4週が正念場か」

●EU除く先進国は上昇基調

 米雇用統計発表をきっかけとしたリスクオンの流れが続いている。世界の市場をみると、EU離脱の当該国である英国の株価はいち早く離脱前の水準を回復、米国株もS&P500に続いてNYダウ平均も高く、15年5月の史上最高値を抜く快挙。つれてもっとも出遅れていた日本株も、7月11日から上昇に転じ、英国のEU離脱前の水準に到達している。

 結局、先進国の株価はEU各国を除いては揃って上昇基調を強めている。

 日本株上昇は、米国株高に刺激されただけでなく、参院選での与党圧勝、今後の経済対策への期待感があろうし、なによりも、米国金利の上昇で円高修正をみせていることが背景にある。

 さて、こうしたリスクオンの流れはいつまで続くのであろうか。経験的には、とりあえずは7月21日前後まで続く公算が大きい。

 仮に、そこまで持続しないようであれば論外、再び安値を模索することになろう。その後は、いったん小休止するのが定石だ。

●底入れ初動は金融株も、寿命は短い

 折しも7月下旬にかけては注目すべきスケジュールが目白押しだ。まず4-6月期企業収益の発表が続く。円高を映して減益企業が増えると予想される。

 また、28~29日には日銀の金融政策決定会合がある。常識的には足元の景気実勢はよくない。日銀としては何もしないという姿勢はとれない。といって、下手に動くと市場には逆効果となる可能性はなきにしもあらずだ。難しいところだ。金融政策の限界が透けてみえるようだ。

 さらに7月29日にはイタリアの銀行のストレステストの結果が判明する。世界最古の銀行モンテ・パスキが破綻に追い込まれるかどうか、ECBの動きが焦点。世界の金融システムに重大な影響をもたらしかねないだけに目が離せない。

 今回の上昇相場でもEUの盟主ドイツやフランスの株価の出遅れが際立っている。

 ともあれ、この間の株価の下値がどの程度なのか。6月24日安値1万4864円に対する二番底、いわゆるダブル底となるか、あるいは小幅安で、6月24日の安値が底入れとなるのか。その後の株価の強弱を占う意味で興味深い。

 物色については、底入れからの初動段階では例外なく金融株であることに注目したい。もっともその寿命は意外に短いことにも注意したい。

2016年7月14日 記


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