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【特集】<話題の焦点>=“介護離職ゼロ”に向け政策本格始動で関連銘柄に追い風

ツクイ <日足> 「株探」多機能チャートより
 政府は2日、「骨太の方針」と「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定した。そのなかで、日本再興戦略には「名目国内総生産(GDP)600兆円」、「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」などの実現に向けた方針が盛り込まれている。なかでも、高齢化が加速する現在、それを支える世代の介護離職問題は極めて深刻で、“一億総活躍”に向けて解決が急がれる。

 国立社会保障・人口問題研究所の集計によると、2035年の65歳以上の人口は15年比7%増と3人に1人が高齢者層となる。そのなかでの介護保険受給者は、632万人と15年に比べて20%以上増える見通しだ。現状でも親や配偶者の介護を理由に年間約10万人が離職を強いられている。

 政府は、“一億総活躍”に向けて、待機児童解消と並んで、介護離職ゼロを最重要課題として掲げている。具体的には、20年代初頭までに介護の受け皿を50万人分増やす方針で、その実現のため新たに25万人分の介護人材の確保が必要となってくる。政府はまず、17年度に、月額平均1万円相当の給与改善を行い介護の担い手を確保する。

 個別銘柄では、通所介護など在宅介護を主力とし、神奈川を地盤に全国展開しているツクイ<2398>に注目。17年3月期の連結業績は、売上高740億3200万円(前期比10.7%増)、経常利益41億5100万円(51.9%増)と大幅増益を見込んでいる。在宅介護事業では、引き続きデイサービスの利用率向上と、認知症予防などに取り組み、今期デイサービス施設30カ所の開設を計画している。

 ニチイ学館<9792>は、認知症患者などが共同生活するグループホームの最大手。診療・介護報酬の両制度で医療・介護の連携強化が進められるなか、訪問看護拠点の積極展開を推進している。一方、施設介護最大手のベネッセホールディングス<9783>は、グループ再編にも積極的。他社が運営する既存のサービス付き高齢者向け住宅に介護事業所を併設するとともに、運営受託を開始している。

 森永乳業<2264>は、他社に先駆け30年以上前から介護食を手がけ、これまで医療機関向けが中心だったものを、13年4月からは一般流通ルートへの販売を強化している。具体的には「調理の手間を省きたい」といった高齢者などのニーズも含めて、介護食を「やわらか亭」のブランドで発売して好評を得ている。

出所:株式経済新聞(株式会社みんかぶ)

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