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【経済】アベノミクス批判はピントがずれている


安倍首相が消費増税の再延期を決めたことで、野党を中心に消費増税が実施できないのはアベノミクスが失敗した証拠だとして批判を強めている。
 しかし、消費増税の延期は去年から今年にかけてのチャイナショック等に端を発する海外の経済減速及びさらなる減速リスクが主たる要因で、アベノミクスの失敗と決めつけるのは為にする議論と言わざるを得ない。世界経済が停滞しているなかで日本のみ成長することは難しい。
 また、そもそも消費増税は民主党政権下において決定していた事項であるうえ、消費を減退させる政策という意味で、消費を増やしデフレから脱却するというアベノミクスと反対方向に向いた政策でもある。アクセルをふかしつつ、急ブレーキをかけたのが前回の消費税の3%増税であった。
 アベノミクスが金融緩和と財政出動で一定程度景気の落ち込みを防ぐことには貢献したのは事実だ。円安が進み、企業業績は向上し、失業率や有効求人倍率も改善、株価も上昇した。
 ただ、アベノミクスは金融緩和で時間を稼ぎつつ、大胆な規制緩和や構造改革という第三の矢で本質的かつ長期的な経済成長につなげるという目論見であったはずである。その点についてはこれといった成果が出ていない。明確な成果は訪日外国人が大幅に増加したくらいであろうか(これとて円安の効果が大きい)。
 アベノミクスの問題点は、第三の矢である大胆な規制緩和や構造改革が公約の通り進んでないことにあり、野党はそこに的を絞って批判すべきであろう。
《YU》

 提供:フィスコ

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