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【特集】田部井美彦氏【ネガティブ材料噴出、どうなる日本株!】(2) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 週明け18日の東京株式市場は再びリスク回避ムード一色に染まり、日経平均株価は一時600円安に迫る急落を演じた。注目されたドーハでの産油国会合では増産凍結の合意に至らず原油市況が急落、為替も1ドル=107円台に入る円高が進行したほか、国内では熊本県を中心に連続的に発生した大規模地震による影響が大手製造業の生産活動を直撃、まさにネガティブ材料が噴出する格好で、狼狽的な売りを誘発している。目先の試練は売りの序章かそれとも買いの好機か。日本株の今後の動向について、第一線で活躍する市場関係者に意見を求めた。

●「内需系の好業績銘柄に物色の矛先」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 18日の日経平均株価大幅下落の最も大きな要因は、原油価格の下落だった。17日にカタールのドーハで開催された産油国会合で、期待感が寄せられていた増産凍結が合意に至らなかったことから原油市況が大幅に下落。これに連動するかたちでリスク回避の動きが強まり、外国為替市場では1ドル=107円台へと円高・ドル安が進行した。先週の12~14日の3日間で日経平均株価が1159円と短期間に急騰したことの反動もあり、原油安が売り仕掛けの材料にされた面もありそうだ。

 これで、6月2日の石油輸出国機構(OPEC)総会まで、増産凍結の結論を持ち越すことになった。この総会が近づいてくると、再び原油価格上昇への期待感が高まることが想定される。

 外国為替市場で、きょうは一時、1ドル=107円台後半まで円高・ドル安が進行する場面があった。この1ドル=107円台後半は、7日のNY外国為替市場で円高・ドル安が進行したときの水準。これを受けて、8日に麻生太郎財務相が閣議後の会見で「場合によっては必要な措置を取りたい」と介入の可能性を示唆する、いわゆる“口先介入”を実行した水準だ。したがって、この水準からの一段の円買いは容易ではなさそうだ。

 また、米アップルのスマートフォン、「iPhone」の苦戦が伝えられ、主力の電子部品株が売られた。熊本地震による半導体や自動車部品をはじめとしたサプライチェーンの寸断は、4~6月の国内経済に対する懸念材料となる可能性がある。

 今後は、補正予算の執行や経済対策の発動への期待感が高まる。熊本地震の発生により、インフラ整備の予算が増額される可能性もある。今後の物色は、決算の本格化と連動して内需系の好業績銘柄に集まりそうだ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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