【経済】NYの視点:IMF、米国16年の利上げは歓迎
国際通貨基金(IMF)は、2016年の世界経済成長見通しを従来の3.4%から3.2%へ下方修正した。一方で、中国の成長見通しを6.3%から6.5%へ上方修正した。ラガルド専務理事は最近、中国政府が発表した措置で景気底入れが可能だとの見方。同時に、中国政府はサービス市場をひろげ、資本市場を発展させる長期の改革を進めることが重要になると指摘した。
IMFは、米国の本年の成長見通しも従来の2.4%から2.6%へ引き下げ。ただ、米国経済がリセッションに陥る可能性は少ないとした。また、マイナス金利を導入する状況に直面しているわけではないと強調した。連邦準備制度理事会(FRB)の利上げに関しては、指標次第の方針を貫いている連邦公開市場委員会(FOMC)がマイナス金利を実施するのではなく、緩やかな利上げを実施することが可能ならそれは「歓迎すべきこと」と述べた。
利上げは、米国経済のインフレや経済が回復している証拠になるからだと説明。また、連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が世界経済による国内経済への影響を政策決定に考慮したことを歓迎すると加えた。ラガルド専務理事は、「経済やインフレの回復を受けて2016年の米国の金利は緩やかに上昇することになるだろう」とみている。米国の利上げが新興諸国経済や市場に影響を与えることは避けられないが、2年前に比べて新興諸国は改革を継続しており、FRBの利上げに十分備えているとして米国の利上げには前向きな姿勢を示した。市場は依然として年内の米国の利上げに慎重だが、FRBが公表した米ベージュブック(地区連銀経済報告)も早くて4月の利上げを正当化する内容となっている。市場の過剰な悲観論が後退した場合にはドル買いが再燃する可能性もある。
《NO》
提供:フィスコ