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【通貨】欧米為替見通し:米雇用統計が堅調でもドル・円の上昇は限定的、ECBショックで


今日の海外市場では、米雇用統計が注視されそうだ。利上げが確実視されるなか、予想を大幅に下回らなければドル・円には買いが入りやすい見通し。ただ、欧州中銀(ECB)の追加緩和が市場の想定を下回ったことによる失望感がドル買い意欲を弱めているため、雇用統計が堅調となってもドル・円の上昇は限定的となろう。

22時半に発表される米雇用統計は、11月非農業部門雇用者数が10月の+27.1万人に対し+20.0万人が見込まれているほか、11月失業率は10月から横ばいの5.0%となる見通し。米連邦準備制度理事会(FRB)は15-16日に開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利上げに踏み切ることが確実視されており、「非農業部門雇用者数が20万人前後から大幅に減少しなければドル買い」(邦銀関係者)というのが市場コンセンサスといえそうだ。

ただ、雇用統計は注目材料だが、前日のECBによる量的緩和が市場の期待を裏切った影響で、従来のような強いドル買い材料にはなりにくいとみられている。ECB理事会が3日に決定した内容は預金金利の10bp引き下げと量的緩和の期限延長にとどまり、資産買い入れの増額は見送られた。これを受け、3日の欧米市場や4日のアジア市場ではユーロ・ドル、ユーロ・円がショートカバーで急反発したほか、株が大きく売られた。

邦銀のある外為関係者は「主に株安の影響でドル・円の長期上昇シナリオが崩れ、ドル買い意欲は弱まった。今日の雇用統計が堅調となっても年内の125円到達は厳しい」と話している。反面、FRBの利上げ方向に変わりはないため、雇用統計が予想を大幅に下振れない限りはドル売りにも傾きにくい。ドル・円は雇用統計発表後に通常だと上下1円程度の値動きがみられるが、今日は50銭-60銭程度にとどまりそうだ。

【今日の欧米市場の予定】

・17:15 スイス・11月消費者物価指数(前年比予想:-1.3%、10月:-1.4%)
・22:30 米・11月非農業部門雇用者数(予想:+20.0万人、10月:+27.1万人)
・22:30 米・11月失業率(予想:5.0%、10月:5.0%)
・22:30 米・10月貿易収支(予想:-405億ドル、9月:-408.1億ドル)
・22:30 カナダ・11月失業率(予想:7.0%、10月:7.0%)
・22:30 カナダ・10月貿易収支(予想:-17億加ドル、9月:-17.3億加ドル)
・00:15 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁あいさつ
・01:45 ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁講演(NYエコノミッククラブ)
・05:45 ブラード米セントルイス連銀総裁講演
・06:00 コチャラコタ米ミネアポリス連銀総裁講演
・OPEC定例総会(ウィーン)

《SY》

 提供:フィスコ

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