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【経済】直撃Q&A「アップル、有機EL採用?!」(1) 鈴木英之氏に聞きました!

鈴木英之氏 (SBI証券 投資調査部長)

 26日の東京株式市場は、日本経済新聞の「米アップルがスマートフォン『iPhone』の表示装置として有機ELパネルを採用する」との報道を受け、有機EL関連株が急伸する一方、液晶関連株が売られた。有機パネルでは日本は韓国勢に大きく出遅れており、国内の電機産業への影響も懸念される。SBI証券の鈴木英之投資調査部長に、今後の見通しと市場への影響を聞いた。

●鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)

Q1 「iPhone」に有機ELが採用された場合、日本の電機産業への影響は?

 コスト面などまだ不透明な部分は多いが、高機能スマホなどには有機ELが使用され、普及価格帯のスマホには液晶といった形で棲み分けが進む可能性がある。ただ、アップルが本格的に韓国のサムスン電子から有機ELを導入した場合、サムスンの勢力が強くなる可能性もあるだけに、アップルがどこまで有機ELに注力するかは、まだ分からない。

Q2 液晶関連への打撃は大きいか?

 有機ELが普及しても、液晶需要が急激に全部なくなるわけではない。一方、日本の産業では製造装置や部材などの関連企業にはメリットになるだろう。有機ELは、日本が開発で先行し韓国に追いつかれ、その後大きく差をつけられたという経緯がある。半導体産業と同様に、多額の資金が必要な分野であり、日本が有機ELで追いつくのはかなり難しいように思える。そのためには、日本の電機業界のさらなる再編が必要だろう。

Q3 メリットを受ける銘柄、デメリット銘柄は?

 市場では、理想買いが向かった銘柄や思惑で売られた銘柄は多い。液晶パネルなどに関連する企業はデメリットとみられ、Jディスプレ <6740> やシャープ <6753> などが売られた。一方、有機EL部材では、保土谷 <4112> やコニカミノル <4902> などが買われた。出光興産 <5019> なども評価されて良いかもしれない。ただ、関連企業の取引関係などはよく確かめる必要はあるだろう。液晶バックライトを手掛けるミネベア <6479> も需要減への懸念で売られたが、液晶需要がなくなるわけではないだけに、ある程度の水準では買い直されるのではないか。

<プロフィール>
(すずき・ひでゆき)早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資調査部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。

直撃Q&A 「アップル、有機EL採用(2) 秋野充成氏に聞く」に続く
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