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【特集】<話題の焦点>=ユニバーサルデザインフードが拡大、2030年には39%が高齢者に

 「ユニバーサルデザインフード」の市場が拡大をみせている。病院食は、医師の処方による「治療食」として診療報酬の対象となるのに対し、加齢に伴う咀嚼・嚥下機能の低下や、通常の食べ物が食べにくい・飲み込みにくい、といった人のための食べ物がユニバーサルデザインフードだ。

 この食べ物は、「特定保健用食品」とは異なるため、「高齢者食」といった限定的な表現を用いず、“万人に使用できる=ユニバーサル”という意味合いを持たせたもの。また、院内介護食とは異なり、一般の人でも購入可能という意味もある。

 国内の65歳以上の高齢者人口は、2014年に3186万人(総人口に占める割合25%)で「4人に1人が高齢者」というのが状況。30年には総人口に占める比率は39%に達する見込みで、ユニバーサルデザインフード市場の成長が見込まれている。

 明治ホールディングス<2269>は、レトルトパウチ商品のほか、チルドコーヒーのような小型のカップ型介護食「明治メイバランスMini」を14年9月から発売。125ミリリットル入りで、200キロカロリーのエネルギー、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを効率よく摂取することができる。同社は2年後をメドに、ドラッグストアと食品スーパーでの販売を2万店に広げる計画で、在宅向け高齢者食を50億円の事業規模にすることを目指している。

 マルハニチロ<1333>は、噛む力が弱くなった人向けに「やわらか食」を販売。やわらかさを4段階に区分したレトルトと冷凍、ゼリー飲料などバリエーション豊富な品ぞろえ。食品スーパーでの販売の増加を目指している。森永乳業<2264>は、医療機関向けが中心だったが、一般流通への販売も強化。「調理の手間を省きたい」といった高齢者などのニーズも含めて介護食を「やわらか亭」のブランドで発売。キユーピー<2809>は、1998年に、おいしさや栄養、食べやすさに配慮した「やさしい献立」を発売し、レトルトを中心に積極的な品ぞろえを展開している。

 ニチレイ<2871>は、カロリーや塩分を調整して生活習慣病の予防効果を考えた冷凍総菜セット「気くばり御膳」を中心に、幅広い層に商品を販売。味の素<2802>は、タンパク質、アミノ酸を中心とした医療用食品の実績を踏まえ、事業領域を拡大している。

◆主なユニバーサルデザインフード関連銘柄

 銘柄<コード>    営業増益率   PER    株価

マルハニチロ<1333>  78.4  14.8   1970
森永乳<2264>     86.6  15.6    569
明治HD<2269>    29.0  27.9  1万150
キユーピー<2809>    6.8  28.3   2949
ニチレイ<2871>    14.9  20.1    843

※株価は13日現在(単位:%、倍、円)


出所:株式経済新聞(株式会社みんかぶ)

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