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【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】

「年後半も懸念材料こなし、上昇基調を持続へ」

●ギリシャ巡る不透明感は解消へ

 ギリシャの債務返済問題を巡る混乱がようやく峠を越えた。この原稿を書いている時点では、なおギリシャの国民投票が終わっていないため、問題は完全に解消したわけではない。

 しかし、チプラス政権が財政の緊縮策を受け入れることなく資金援助の継続を求め続けたことにEU諸国連合は、明確に「NO」の決断を下した。

 今後、ギリシャがEUやユーロ圏から離脱するかどうかなどが問われるものの、投資の観点からはもはやそれらは主要な関心事とはならない。

 市場がこれまで懸念していたのは、事態がどうなるか展開を読みにくい、つまり不透明状態にあったからだ。ところが、ギリシャのこれ以上の身勝手な要請は受け入れられない。こう決断が下されたことで、不透明感は完全ではないものの、ほとんどが解消されてしまった。

 つまり、ギリシャ悲喜劇のクライマックスは終わったのだ。もちろん、ギリシャ国民の生活がどうなるかの問題は残る。そして、それは政治的には重大であり、無視などできないし、するべきでもない。

 しかし、投資ではあくまでもあらゆる事象が投資の障害になるかどうか。この点が問題であり、すでに市場は次第に次の課題へ関心を移し始めているといえる。

 次の課題とはなにか。新しいものではない。従来繰り返し市場の関心事となってきた米国の利上げ時期がいつになるのか、そして上海市場のバブルが崩壊するのかどうか。崩壊した場合、東京市場にどんな影響があるのか。この2点になる。

 これらのうち前者は前述したように、懸念材料というより定番関心事ともいえるもので、今後も引き続き市場の重要な変動要因になり続ける。そして、比較的新たな材料として懸念材料となりつつあるのが上海市場の急落になる。

●上海市場には最大の警戒を

 前者については今週2日、米国で発表された6月の雇用統計で非農業部門の雇用が22.3万人増と市場予想の23万人に届かなかったことで、政策金利の引き上げは9月実施観測が年内のそれに移り、さらには来年にずれ込むとの見方も出てきている状況だ。

 私は年内、それも10月が有力と見ている。量的緩和策を打ち切ったのが昨年10月であり、ちょうど1年経ったところで金利の引き上げ実施というのがキリがよいからだ。しかし、正直これは私の勝手な観測であり、市場の大勢は前述したように9月から年内一杯に移っている。

 ただ、この問題も市場を大きく変動させるものではない。すでに半年以上も関心事であり続けているため、株価に大部分織り込まれているからだ。

 となると、やはり問題は上海市場の暴落懸念になる。すでに同市場は高値から24%ほど下げている。主要指数が下落に転じた場合、20%以内は調整とみなせる。ところが、20%を越えると調整では済まなくなる。復元力がかなり弱まってしまい、そのまま続落してしまうことが多いからだ。

 上海市場もそうなってしまうというのではないが、ここはやはり当然、最大の警戒が必要になる。東京市場は中国情勢の変化に非常に神経質だからだ。

 以上のような気掛かり材料を並べると、先行きに対して悲観的になってしまう方がおられるかもしれない。しかし、それは無用だ。気掛かり材料は気掛かり材料として紹介する必要があるので紹介したのであり、これらがあるから株は上がらないとか、売った方がよいということにはならない。

 その証拠に、今年前半を振り返ってみていただきたい。東京市場は半年で16%強上昇した。6月26日時点では20%の上昇となったほどだ。大事なのは、多くの気掛かり材料がある中でこれだけ上がったのだ。今年後半相場も類似の展開が見込める状況にある。

 注目したい銘柄だが、まずはトヨタ自動車の元本保証新型株の販売を一手に引き受ける野村 <8604> 、10月に日本郵政の上場を控えて市場が盛り上がる可能性が高い点では日本取引所 <8697> 、新社長就任に加えGショックの販売好調が続くカシオ <6952> が魅力的だ。

 小型株にも目を向けておくと日本M&A <2127> 、アクリティブ <8423> 、一休 <2450> がある。

2015年7月3日 記

株探ニュース

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