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【市況】為替週間見通し:米経済悪化の兆候なくドル買い再開も


■ドル・円は弱含み、米早期利上げ観測後退とギリシャ懸念でドル買い縮小

先週のドル・円は弱含み、一時121円94銭まで売られた。メルケル独首相がギリシャで5日に行われる国民投票が終了するまで、ギリシャ側の提案について交渉しない方針を示したことを嫌ってリスク回避的な円買いが優勢となった。

その後、米雇用関連指標の改善や製造業の景況感改善を好感して9月利上げの思惑が浮上し、ドルは一時123円台後半まで戻す場面があった。しかしながら、2日に発表された6月米雇用統計は予想を下回る結果となり、早期利上げ観測は大きく後退したことでドルは122円台後半まで反落した。なお、3日の米国市場は独立記念日の振替休日のため、休場となった。取引レンジは121円94銭-123円73銭。

■ドル・円はやや底堅い動きを見せるか、米経済悪化の兆候なく、ドル買い再開も

今週のドル・円はやや底堅い動きとなりそうだ。2日に発表された米雇用統計は予想よりも弱かったことでドル売りが優勢となったが、足元の米国経済が悪化している兆候は確認されていない。労働市場は穏やかに改善しており、製造業の景況感はまずまず良好であることから、ドルを買い戻す動き再び広がることが予想される。


5日に行われるギリシャ国民投票の結果が注目されている。市場の楽観論に反して緊縮財政を受け入れなかった場合、ユーロ売りが進み、ドル・円相場への波及を警戒する投資家は少なくない。ただし、ギリシャ債務問題は米国経済に直接的な影響を与えるとの見方は少なく、ユーロ圏から米国市場への資金流出が拡大するとの思惑があることから、リスク回避的な円買いが大きく広がる可能性は低いとみられる。

【ギリシャ国民投票】(5日)

世論調査などによると、過半数のギリシャ国民は緊縮財政を受け入れる用意があるもようだ。国民投票は僅差の結果となりそうだが、受け入れ拒否の結果となった場合、リスク回避的なユーロ売り・米ドル買いの動きが広がるとみられている。対円でのユーロ売りが増える可能性はあるが、ユーロ安・米ドル高の相場展開となった場合、ドル安・円高が進行する可能性は低いとみられている。

【FOMCの議事要旨公開】(8日)

6月の米雇用統計を受け、早期利上げ期待感が縮小したことから、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録(6月16、17日分)における参加メンバーの発言内容が注目される。早期利上げについて消極的な意見がいくつか出た場合は、ドル売り材料となる。なお、10日にイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演を行う。年内利上げの可能性に言及した場合、リスク選好的なドル買いが増える可能性がある。

予想レンジ:121円00銭-125円00銭

《TN》

 提供:フィスコ

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