市場ニュース

戻る
 

【特集】【日本株・物色動向(1)】日本郵政10月上場、投資活性化の起爆剤に! /冨田康夫 <夏の相場観>

日刊株式経済新聞 編集長 冨田康夫

【日本株・物色動向(1)】日本郵政10月上場、投資活性化の起爆剤に!

 日本郵政グループ3社は6月30日、東京証券取引所に株式上場の本申請を行った。早ければ10月にも株式上場する見通しだ。大規模な政府保有株売却を伴う新規上場自体も注目を集めるが、これに関連して個人投資家の株式投資全般への関心が高まることが予想され株式市場活性化の起爆剤として期待されている。日本郵政グループは、政府が株式の100%を保有する持ち株会社の日本郵政と、金融子会社のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社がそろって同時上場する。

 現時点で日本郵政は国有企業で、その株式は国民の財産。貴重な国民の財産であるゆうちょ銀行・かんぽ生命の株式をできるだけ高い価格で売り出したいと考えるのは当然のこと。新規上場株の公開価格は、事前のプレ・マーケティングで機関投資家の需要などをある程度把握しつつ、類似企業の株価やバリュエーションを参考にして決められる。

 市場関係者からは「ゆうちょ銀行・かんぽ生命の上場に向けて、類似企業となる可能性の高いメガバンクや大手保険会社など金融セクター企業の株価はジリ高傾向をたどることになりそうだ」との見方が出ている。メガバンクや大手保険会社のPBRは0.8倍台など株価が解散価値を下回る割安水準にあり、株価上昇余地は十分といえる。

 過去のNTT<9432>やJT<2914>、JR各社の上場時と同様に、民営化企業の株式売却は、国民の関心を幅広く集める可能性が高い。市場関係者からは「“郵政”の地域密着度は、NTTやJR各社以上に強い面もあり、これまでに株式投資に関心の薄かった層を呼び込む起爆剤になる」とマーケットの活性化を期待する声があがっている。1987年に上場したNTTの場合、それまで株式市場と縁のなかった一般の人々からの注目度が急速に高まり、その後の投資ブームのきっかけとなったという経緯がある。今回は、昨年からスタートしたNISA(少額投資非課税制度)との相乗効果もあり、株式投資に初めて参入するケースも増えそうだ。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)     【夏の相場観】特集 より

株探からのお知らせ

    日経平均