市場ニュース

戻る
 

【特集】ユニリタ Research Memo(1):新事業体制で大幅増収増益、ROEも13%と高水準


ユニリタ<3800>は、金融や製造を始め、幅広い業種向けに基幹業務システムの運用管理を行うパッケージソフトウェアの開発、販売、サービスを主力としている。2015年4月1日付で連結子会社である(株)ビーコン インフォメーション テクノロジー(以下、ビーコンIT)を吸収合併するとともに、社名を「(株)ビーエスピー(BSP)」から「(株)ユニリタ」に変更した。成長領域であるデータ活用分野に強みを持つビーコンITとの経営資源の融合を図ることで、環境変化に対応するための事業構造改革を早期に進めるところに狙いがある。これまでの同社の業績を支えてきた既存事業(自動化、効率化の推進により顧客の生産性向上に貢献する領域)とビーコンITの事業(データ活用により顧客の企業価値向上に直接貢献する領域)を取り込むことによるシナジー創出により新たな成長ステージに入るものとみられる。

「新事業体制の構築元年」と位置付けた2015年3月期は、売上高が前期比69.4%増の7,120百万円、営業利益が同24.1%増の1,465百万円と、ビーコンIT連結化の影響から大幅な増収増益となり、過去最高の売上高、営業利益を更新した。ただ、期初予想に対して売上高が未達となったのは、ビーコンITとの合併に向けてグループシナジーの基盤づくりを前倒しで実施したことに加え、顧客の人手不足等への対応のため労働集約的な技術支援サービスが増加したことにより、製品(ライセンス)販売が手薄になったことが影響したようだ。

同社は、2016年3月期を初年度とする「第2次中期経営計画」を策定した。事業ポートフォリオを、収益基盤として事業成長を支える「生産性向上製品群」と、事業構造変革のための成長ドライバーとなる「市場拡大製品群」及び「独自のSaaS製品群」の3つに分類し、経営資源を成長領域に大きくシフト(技術の入れ替え)する方針を掲げている。また、成長のための積極的な製品開発投資により、最終年度である2018年3月期には売上高100億円(平均成長率12.8%)、経常利益24億円(経常利益率24.0%)、ROE14.9%を目指す内容となっている。

2016年3月期の業績予想について同社は、売上高を前期比6.7%増の7,600百万円、営業利益を同2.3%増の1,500百万円と見込んでいる。弊社では、将来の成長に向けた企業のIT投資意欲が高まるなかで、合併後の事業推進体制の強化や組織再編等によるシナジー効果(既存顧客に対するクロスセル等)が徐々に創出されてくることや、前期業績の足を引っ張る要因となった売上構成の歪み(技術支援サービスへの偏重による弊害)が是正されることを考慮すれば、同社予想(特に利益予想)は堅めの水準であるとみている。引き続き、シナジー効果の創出と事業構造変革の進捗に注目していきたい。

■Check Point
・メインフレームというキャッシュカウを次の成長へ投資
・新中計がスタート、経常利益は3年後50%増へ
・配当性向30%で連続増配、株主優待もあり

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《FA》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均