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【市況】国内株式市場見通し:日米金融政策に関心、決算は売り一巡後が有効か


■TOPIXは7年ぶり高値、日経平均は再び2万円超えへ

先週の日経平均は上昇。23日には一時20252.12円と15年ぶりの高値水準を更新している。週初は中国当局による空売り規制緩和による中国株の下落懸念が高まったほか、ギリシャの債務問題への懸念が再燃するなか、欧米市場の不安定な流れを受けて、日経平均は19500円を割り込む局面をみせた。しかし、中国人民銀行が預金準備率を引き下げると中国の景気刺激策を好感した欧米市場の上昇のほか、4月末の日銀会合での追加緩和期待が強まるなか、金融セクターの強い値動きが目立った。

TOPIXは7年5ヶ月ぶりの高値を更新し、日経平均はTOPIXに引きづられる格好から、19900円を回復。その後も海外勢とみられる買いにより、銀行、その他金融、保険といった金融関連の強い値動きが続く中、22日には幻のSQ値となっていた4月SQ値20008.47円をクリアしている。週末こそ利益確定に押される格好から3ケタの下落となったが、2万円を割り込まず、底堅い展開となった。

■主要企業の決算発表本格化

今週から主要企業の決算発表が本格化する。同時に大型連休であるゴールデンウィークに突入するが、5月8日までの5営業日で発表を予定している企業は1000社を超える。株主還元策を発表する企業が目立つ中、決算に対する関心が一段と高まることになる。本格化する決算発表を前に注目された日本電産<6594>については、コンセンサスを下回ったことで売りが先行したが、売り一巡後に切り返しをみせており、年初来高値を更新。増益ながらもコンセンサスを下回り、売られたところが買いのタイミングとして意識された格好。また、上方修正を発表したソニー<6758>については、いったんは利益確定の流れが強まったものの、翌日には反発をみせるなど、押し目買い意欲の強さが窺えた。

物色については業績相場がより強まることになるが、ゴールデンウィークに突入するため、短期的な商いが中心になりやすい面はありそうだ。そのため、決算を手掛かりとするものの、やや日替わり的な物色にもなりやすいだろう。ザラバに発表する企業などへは、短期筋の資金が集まりやすい。

■日米金融政策に関心

また、28日、29日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。29日には1-3月期の米国内総生産(GDP)が発表される。そして30日には日本銀行が金融政策決定会合を開く。FOMCについては利上げ開始時期に関する発言などが注目される。金融政策決定会合では、ここ最近の銀行株の上昇などをみると、追加緩和への期待感なども根強かったと考えられるため、思惑的な商いが強まりそうである。追加緩和はないとの見方が増えているとはいえ、足元の金融株の上昇から期待値は大きいため、反動安を警戒する必要もありそうだ。大型連休明け後の5月8日には4月の米雇用統計の発表が控えている。失業率が5.5%程度、非農業部門雇用者数が20万人増程度ならば、6月のFOMCで利上げが開始される可能性が高まることになるため、強弱感が対立しやすい。

■株主還元を強化する流れに期待

なお、主要企業の決算については、日本電産<6594>やソニー<6758>などをみると、売り一巡後の押し目狙いが有効に映る。また、熊谷組<1861>が7年ぶりの復配を発表するなど、業績回復に伴って株主還元策に力を入れてくる企業も目立つ。株主還元を強化する流れの中で、低ROE銘柄の姿勢の変化が改めて注目されやすいだろう。一方で、下方修正等に対してはより失望につながりやすく、明暗を分けそうである。決算に対して模様眺めムードが強まる局面においては、値ごろ感からの低位材料株や短期的な値幅取り狙いとして新興市場の中小型株辺りにシフトしやすい。また、28日に行われる日米首脳会談ではTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉に対して何らかの道筋がみえるようだと、関連銘柄への物色が強まる可能性がある。

《TN》

 提供:フィスコ

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