【市況】為替週間見通し:日米首脳会談に向けて円安抑制の思惑
■ドル・円上昇、米早期利上げ観測が再浮上
先週のドル・円は上昇、118円80銭から一時120円74銭まで買われた。3月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、数名が6月会合で利上げが正当化されると予想していたことが判明し、早期利上げ観測が再浮上したことが要因。雇用関連指標の改善や米財務省半期為替報告書で円安批判が無かったことも意識されたようだ。取引レンジは118円80銭-120円74銭。
■ドル・円は上げ渋りか、日米首脳会談に向けて円安抑制の思惑
今週のドル・円は上げ渋りか。今月28日の日米首脳会談に向けてドル高・円安抑制への警戒感が広がっていることやG-20財務相・中央銀行総裁会議での為替協議の思惑が浮上しており、投機的なドル買いは抑制される見込み。しかし、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や民間機関投資家による外貨建て資産投資の拡大が想定されており、ドルが大きく売られる状況ではないとみられる。
ドル安・円高につながるリスク要因としては、米国議会で環太平洋経済連携協定(TPP)に為替条項を盛り込む可能性が強まった場合、中東の地政学的リスクが緊迫化した場合、ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念などが挙げられる。
【米地区連銀経済報告】(15日)
4月28-29日の連邦公開市場委員会(FOMC)での米国の景況感の判断材料となる米地区連銀経済報告では、悪天候により低迷している雇用情勢や原油価格の下げ止まりを受けた物価情勢を見極めることになる。景気拡大を示唆する内容であれば、ドル買いにつながる可能性がある。
【G-20財務相・中央銀行総裁会議】(16-17日)
米財務省の半期為替報告書は、欧州と日本は金融政策に過剰に依存していることは問題である、中国人民元と韓国ウォンの上昇は必要であると指摘した。中国当局は、中国人民元の特別引き出し権(SDR)の通貨バスケットへの採用を求めており、中国人民元の安定推移を目論んでいることで、米中の為替協議に注目することになる。
欧州中央銀行(ECB)と日本銀行は、インフレ目標2.0%に到達するまで金融緩和政策を続けると表明しており、利上げの時期を模索している米連邦準備理事会(FRB)との金融政策協議に注目することになる。
【日米政権のドル高・円安抑制スタンス】
28日に予定されている日米首脳会談に向けて、ドル高・円安を抑制する動きが警戒されている。安倍政権は、環太平洋経済連携協定(TPP)に為替条項を盛り込む動きが強まっている米議会に配慮して、円安を抑制するスタンスをやや強めている。米議会ではドル高が懸念されており、通貨安による損害賠償請求、TPPに為替条項を盛り込む動きが出ている。オバマ米大統領は、議会対策、米国製造業への配慮からドル高による米国輸出への影響に言及しており、大統領の見解は投機的なドル買い・円売りを抑制する効果がある。
予想レンジ:118円00銭-122円00銭
《TN》
提供:フィスコ