【経済】日本株を売りまくる日本の個人投資家
日経平均株価は堅調に推移し19000円台目前まで迫ってきた。しかし、日本の個人投資家は日本株売りの姿勢を一段と強めている。先週発表された2月第3週の個人投資家の売り越し額は信用分を含めると6690億円の大幅な売り越しとなっている。投資信託でも売り越しとなっている。日本証券金融のデータでも、融資残(信用買い)は減少、貸し株残(空売り)は増加し続け、ついに逆転している。 日本の個人投資家は2012年に1兆9100億円、2013年に8兆7500億円、2014年に3兆6200億円と3年連続で大幅に売り越してきたが、2015年に入っても「売り」の態勢にある。
政府の「貯蓄から投資へ」の掛け声むなしく、個人投資家は徹底して戻り売りと逆張りを貫いているといえよう。 アベノミクスによる景気回復やデフレ脱却を一番信じていないのは日本の個人投資家かもしれない。
これはしかし、ある意味無理もない。長期的にみると、バブル崩壊以降日本の株式市場は低迷し、20年以上もの長きにわたって下げ続けた。少し上がったとしても、長期でみると必ずその後下がったのである。先日、いみじくも民主党の某議員は「上がった株は必ず下がるんですよ、皆さん」と国会で断言したが、個人投資家の心情もこの議員と同じであろう。
ただ、一方で年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)その他の年金基金は日本株の大幅な買いに動き出している(直近では公務員年金も株のウェイトを高めると発表)ため、国民は年金を通じて株を買っているといえ、合わせてみるとバランスが取れているのかもしれない。今回の株価上昇に過熱感がないのはこのようなバランスのせいだろう。
果たして今年も日本の個人投資家は日本株の売り越しを続けるのだろうか。日本の個人投資家のデフレマインドは続いて行くのか注目される。なお、外国人投資家も今年に入って売り越し基調であったが、2月第2、3週と直近では2週連続で買い越しており、こちらの姿勢も注目される。
《YU》
提供:フィスコ