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【経済】愚かな選択をしたギリシャは後悔することになるだろう


先日行われたギリシャ選挙で、ギリシャ国民は極端な主張をする急進左派連合(SYRIZA)に政権を与える選択をした。急進左派連合(SYRIZA)の主張は、ギリシャはトロイカ(欧州連合・欧州中央銀行、国際通貨基金)から支援の条件として課されている緊縮財政をやめ、さらには借金の棒引きを求めるという過激なものだ。急進左派連合は緊縮財政をやめて公務員の再雇用等のいわゆる「バラマキ政策」を行う姿勢を見せている。
 欧州危機以降ギリシャの経済は低迷が続いており、失業率は25%を超え、若年層の失業率に至っては50%程度で高止まりしている。ギリシャ国民は緊縮財政に耐えてきたが、ついにシビレを切らして、トロイカと強調していた前政権から急進左派連合に乗り換えたかっこうだ。
 ギリシャ新政権はさっそく、トロイカの調査団受け入れや、「現行の救済プログラム」の延長を拒否し、債務の削減を求めている。
 しかし、ギリシャの財政は少しずつ改善の兆しをみせ、直近ではプライマリーバランスは黒字に転換していた。また、欧州中央銀行(ECB)の量的緩和(国債等買い入れ制度)導入で、将来はより低利での資金調達ができる可能性があった。このタイミングでこれまでの支援の枠組みを壊したうえで債務の削減を一方的に求めるのは破滅的な行動と言わざるをえない。
 トロイカの支援が受けられなくなればデフォルト(債務不履行)に至り、今後の国債発行がスムーズに行かず国民へバラまく原資は当然調達できない。ギリシャ新政権の誕生を受けて、すでに国債の金利は急上昇している(国債の価格は下落)。また、複数の格付け会社がギリシャ国債の格下げを警告している。
 仮に支援交渉が決裂して、ギリシャがユーロを離脱して元の通貨「ドラクマ」に戻ればハイパーインフレとなろう。価値が暴落するおそれがある以上ドラクマは使われなくなり国民はユーロを使い続けざるをえないだろう(最近のロシアルーブルよりも何倍も酷いことになるだろう)。そうすると通貨切り下げによる恩恵も事実上ない。ギリシャ国内で活動している外資の資金も「何か」が起こる前に全て引きあげられるだろう。いずれにせよ、海外へのキャピタルフライトを防ぐための預金封鎖や資本規制、為替規制等の強行的な政策もあわせて実施され、ギリシャ経済は大混乱となることが必至だ。
 同じくデフォルトしたアルゼンチンは通貨の暴落があっても豊富な天然資源や農作物生産で国内経済は回っていたが、ギリシャには観光以外にとりたてて大きな産業はない。ドイツを中心とする欧州から見放されたらギリシャにはより悲惨な国家破綻の将来しかない。
 このままの路線を貫けば、ギリシャ国民は目先の苦しさから耳触りのよいことをいう政党に飛びついたことを長く後悔することになるだろう。
 かつてどこかの国の国民も耳触りの良いことしか言わない政党になだれを打って投票し、後に「失われた3年」という厳しい期間を経験することになったが、ギリシャは3年や5年では立ち直れないだろう。
《YU》

 提供:フィスコ

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