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【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】


「今年も目を離せぬインバウンド関連株」

●好調な米国経済が下支え

 残念ながら東京市場は、昨年の1月と似たような展開になってきた。昨年は大発会から下落開始、ついに2月初めまで続いてしまった。

 今年はいまのところ2週続落になってしまうが、昨年は5週も下げ続けただけに、同じような展開になってしまうのではないかと案じられる状況だ。

 昨年の下落要因は、地政学リスクと米国の寒波だった。今年はそれが原油先物価格の下落とギリシャ政情の混迷だ。目先はそれにスイスフランの対ユーロでの急騰が加わっている。

 昨年の下落要因と比べて規模やウエイトはどうなのか。明らかに今年の方が大きくなっている。ギリシャ政情の混迷は数年前に一度経験済みなので対策の立てようがあるが、原油価格の下落は簡単に対応できない。

 このような観点からは、昨年の5週連続安を上回って下げてしまったとしても不思議はないが、実際にはそうはならないだろう。

 というのは、昨年は寒波より米国経済の失速が大きな懸念材料になったのに対し、今年はそれがない。つまり、米国経済の好調が続いていることに疑念が生じていないのだ。そのため、昨年ほどの下げにはならないと見てよい。

 それでも当面、安定性に欠く展開は続いてしまう恐れがあり、対応しにくいのは認めざるを得ないが、ここで敢えて強調したいのは、株式市場にはすでに確定的なイベントや材料があり、それらに投資したりすることで、波乱に巻き込まれることなく投資できる。これになる。

 どんなものがあるのか。

 まずは日本郵政グループの上場だ。市場予想では9月になるだろうと見られているが、実際には時期は未定だ。しかし、今年中、それも秋には上場されることが決まっているため、関連株に投資しておくのは良策になる。

 ただ、問題は上場までにかなりの期間があること。それまでとても待てない。こうなるだろうから、この点を考えた場合、魅力的なのが訪日外国人の増加になる。

 いわゆるインバウンドツーリズムの増加であり、これは今年1年どころか数年は続く株価支援材料になると見てよい。よほどのことでもない限り、来日外国人は毎月確実に増え続けるからだ。昨年は1300万人以上というとてつもない来日があったが、今年はもっと増えて1400万人を超えることもあり得る。

 株式市場は借入金以外、なんでも増加することを好む。売上、利益、客数、なんでも増えるほど好感する。しかも、その増加ぶりが着実であることほど好ましいことはなく、訪日外国人たちの増加はこのような市場の願望を他のなによりも着実に果たしてくれるため、インバウンド関連株からは今年一年、目を離さないようにしたい。

●高齢者向けビジネスにも注目

 本欄をお読みの方はよくご存じのように、私は昨年は繰り返し日本空港ビル <9706> を注目銘柄として取り上げ続けてきた。

 それはもちろんインバウンド関連株としてそうしてきたわけで、株価も十分期待に応えてくれたのだが、今年もなおこの銘柄は外せない。そのため、今後もたびたび取り上げることになりそうで、ここで改めてお断りしておきたい。 

 なお、いま昨年末の本欄の原稿を読み返してみたところ、昨年の最終銘柄としても日本空港ビルを取り上げており、株価は期待に応えた動きになっているので、ホッとしているのが実際だ。

 さすがに今回この覧では日本空港ビルを注目銘柄として再度取り上げるのは気が引けるのでそれはしないつもりだが、インバウンド株は他にもあるので、後ほどご紹介する。

 このような材料に比べると確実性は低いものの、高齢化の進行によりメリットを受ける企業があることも忘れないようにしたい。

 フィットネスクラブやドラッグストア、大人用紙おむつメーカー、葬儀や遺影写真作成などのビジネスは着実に収益が増加していくと見てよい。

 高齢者に限らないものの、高齢になれば気になるのはまずは健康だ。そのため、ヘルスケア用品をあれこれ購入することになる。

 私は韓国ドラマをBS放送でよく見ているが、それらの番組のスポンサーはほとんどがヘルスケア用品のメーカーだ。青汁をはじめ、あれこれ実に多彩だ。そして、いずれも結構価格は高い。それらの効果のほどはよく分からないが、高齢者がターゲットになっているのは間違いないところであり、高齢者対応ビジネスを展開している企業の株も期待が持てる。

 そこで、注目なのはまずは紙おむつに強いユニチャーム <8113> だ。株価は15日に新値をつけたが、16日は反落した。ここで拾っておきたい。

 日本空港ビルに代わるインバウンド銘柄としては共立メンテ <9616> がある。ビジネスホテル経営が順調だ。

 健康関連株ではリゾートトラ <4681> が魅力的だ。PET事業が伸びている。ヨーグルトの販売が好調な明治HD <2269> も高値ながらなお魅力的だし、ヘルスケア用品では花王 <4452> を。

2015年1月16日 記

「チャートブック日足集」No.1554より転載
(「株探」編集部)

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