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【特集】ハピネット Research Memo(3):映像音楽やビデオゲームでも事業基盤を強化


■会社概要

(2)事業内容

ハピネット<7552>の主要事業は、玩具、映像音楽ソフト、ビデオゲーム(ハード、ソフト)、アミューズメント商品の卸売りであるが、一部を自社で企画、製造、製作も行っている。会社側ではこれらの商品・製品を「玩具」「映像音楽」「ゲーム」「アミューズメント」の4つの事業部門に分けており、2015年3月期の第2四半期の事業部門別売上高(構成比)は、玩具39,479百万円(42.3%)、映像音楽21,376百万円(22.9%)、ビデオゲーム19,939百万円(21.3%)、アミューズメント12,643百万円(13.5%)となった。2013年7月に任天堂<7974>のゲーム機器卸大手であるトイズユニオン(株)(2014年7月1日付で株式会社マックスゲームズへ商号変更)を子会社化したが、ソフト配信やソーシャルゲームの拡大によりビデオゲーム機器及びパッケージ市場全体の縮小が進んだためビデオゲーム事業の売上高比率は低下している。

以下は各事業部門の詳細内容である。

(a)玩具事業

バンダイは言うに及ばず、タカラトミー<7867>、セガトイズなどの多くの国内メーカーの商品を取扱っており、中間流通業界では最大手(推定シェア30%)である。

2015年3月期の第2四半期累計のメーカー別の売上高構成比は、バンダイが56.6%、タカラトミーが4.7%、その他メーカーが35.7%となっているが、同社のオリジナル製品も3.0%を占めている。粗利率は製品によってまちまちであるが、バンダイ製品と同社オリジナル製品が比較的高い。同社にとってバンダイは最大の仕入先であるが、バンダイ側から見ても通常の玩具の約70~80%は同社を経由して販売されており、最大手の卸会社となっている。ただし「妖怪ウォッチ」関連は玩具売場以外の様々なチャンネルで販売されているため、約50%が同社経由になっている。

(b)映像音楽事業

DVD・CDなどの映像音楽ソフトを仕入れて販売する部門で、中間流通業界でのシェアは約14%と推定され、トップクラスである。2015年3月期の第2四半期累計の商品別の売上高構成比は、映像商品が約74.4%(うち卸商品が59.0%、自社製品が15.4%)、音楽商品が25.6%となっている。

同部門では単に一般的な作品の流通だけでなく、カンヌ国際映画祭、アメリカンフィルムマーケット※などでの直接買付け(独占販売権取得)も積極的に行っている。さらに自社での出資製作をする場合もあり、これらの自社製作作品は、劇場興行、DVD・ブルーレイ(パッケージ)、配信、TVなどへの番組配信も行っている。自社製作作品・独占販売作品の取扱いは、年間120本ほどになっている。

※毎年11月に米国にて開催される世界最大級の映画業界の見本市で、映画関係者による映画の売買を目的としている。

最近では特に出資製作や独占販売商品の販売を強化しており、代表的な作品としては、「のぼうの城」「私の男」「凶悪」「アメリカンハッスル」「人類資金」「クローズEXPLODE」などがある。同部門は、自社製作の作品がヒットすれば利益率が大きく向上するが、反対に損失を出す可能性もある。したがって出資製作を行うことは収益性の点からはリスクが高いとも言えるが、将来の収益拡大のために、出資製作は続けていく方針である。

(c)ビデオゲーム事業

「Wii」及び「Nintendo DS/3DS」(任天堂)、「PlayStation」(ソニー<6758>)、「Xbox」(マイクロソフト)に関するハードとソフトを仕入れて販売する部門。2015年3月期の第2四半期累計の商品別の売上高構成比は、任天堂商材が76.5%、PlayStationが14.3%、その他が9.2%となっている。なお、任天堂の売上高比率が高くなっているのは、2013年7月に子会社化したトイズユニオンの影響による。

市場シェアは、Xboxについては国内総代理店、PlayStationについてはメーカーの直接販売を除いた玩具業界内で同社が独占的な地位となる。また、任天堂商材の取扱いはかつて、業界第4位であったが、上記のトイズユニオンを子会社化したことで推定シェアが約25%となり業界第2位と肩を並べる規模となった。ちなみに業界第1位のシェアは約30%であり、1、2位企業とも任天堂専門の卸であり、同社のように取扱商品が分散されていない。

(d)アミューズメント

キッズカードやカプセル玩具を同社が設置した機械によって自動販売する部門。かつては全国約8,600ヶ所に機械を設置していたが、採算性の見直しによって現在は全国約4,500ヶ所、15万面に展開している。なお、同社の市場シェア(推定)は約60%で、残りはほとんどが中小事業者となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《FA》

 提供:フィスコ

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