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【特集】【中国の視点】ロシア:98年のデフォルト悪夢は再来か、原油とルーブルの同時安で


原油価格はすでにロシアの財政収支均衡の下限(1バレルあたり90米ドル)を大幅に割り込んでいる。このまま原油安が進んだ場合、ロシアが景気後退(リセッション)に陥る公算が大きいほか、1998年のようなデフォルト(債務不履行)の悪夢が再びよみがえる恐れがあると指摘されている。

統計によると、ロシア企業の対外債務残高は5000億米ドルを突破しており、2015年末までに償還する必要となる債務残高は1300億米ドルになるという。原油価格が一段と下落した場合、ロシア企業の負債残高が一段と増加する。また、ウクライナ・クリミア半島のロシア編入に伴う欧米の対露制裁の強化を受け、欧米などでの資金調達が困難になると指摘された。そのため、ロシアの大手企業が最終的に政府の援助を求めるため、巨額な債務を政府にのしかかると警告されている。

通貨ルーブルが米ドルとユーロで構成するバスケットに対し、直近3カ月で23%下落している。外資流出や一段のルーブル安を食い止めるため、ロシア中央銀行は10月31日、市場予想を上回る大幅な利上げに踏み切った。ただ、これは国内の消費意欲を減退させるほか、インフレの加速につながる恐れがある。

中国の専門家は、これが1998年に起きたロシアの経済状況に似ていると指摘。この年の原油価格は1バレル10米ドル台まで低下し、歴史的な低価格を記録した。これに加え、ロシアは高いインフレ率に苦しんだ。エリツィン政権のもとでロシアは1998年1月にルーブルを1000分の1のデノミを実施。また、同年8月17日、国債のデフォルトを宣言した。

なお、プーチン大統領は原油価格に対し、ポジティブな見方を示している。ただ、日本経済のリセッション入りに加え、原油に対する国際的な需要が弱まっている中、原油価格が一段と下落するとの見方は優勢になっている。
《ZN》

 提供:フィスコ

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