【経済】【中国の視点】ロシアの外貨準備高:底をつく危険性、原油とルーブルの同時安で
ロシアの外貨準備高が底をつく危険性が高まっていると指摘されている。ロシア政府が発表した2014年11月7日時点の外貨準備高は4210億米ドル(約50兆円)となり、2013年10月31日時点の5240億米ドルを1030億米ドル下回った。
ただ、外貨準備高のうち、金の備蓄(450億米ドル)や国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR、120億米ドル)、ロシア連邦国民福祉基金(NWF、820億米ドル)、リザーブ・ファンド(RF、900億米ドル)が含まれている。NWFは年金の支払い、RFは予算の支出などに回されるため、NWFとRFが外貨準備高として使用されることがほぼ不可能だと指摘された。
そのため、ロシアの純外貨準備高は1920億米ドルにとどまり、政府が発表したデータを大幅に下回っている。
中国の専門家は、現在のロシアの外貨準備高(1920億米ドル)が危険なレベルまで低下していると指摘。ロシア企業が年間で償還する対外債務は約1500億米ドルとなり、経常黒字は約600億米ドルで計算すると、2015年末の外貨準備高(現在の外貨準備高-対外債務+経常黒字)は約1000億米ドルまで減少。これは輸入代金の4カ月分(2013年年間輸入代金3410億米ドルを基準に)にとどまり、対外債務を支払う余裕がなくなると試算された。
また、ウクライナ・クリミア半島のロシア編入に伴う欧米の制裁強化を受け、ロシア企業が欧米での資金調達が事実上困難になっているため、企業による対外債務の償還額が予想を上回る公算が大きいと見込まれている。
なお、急速なルーブル安を食い止めるため、ロシア中央銀行は最近、利上げに踏み切ったばかりだ。また、原油安の進行を受け、財政収入は大幅減少の危機にさらされている。これに加え、利上げに伴う消費の低迷に打つ手がなく、ロシアは景気後退に陥る危険性が高いと警告されている。
《ZN》
提供:フィスコ