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【経済】日・欧・中の金融緩和で異次元の金融相場が始まる


米国は第三弾まで続いた量的緩和シリーズを終了し、次のステップであるゼロ金利からの利上げをうかがっている。しかし、日本は追加緩和に踏み出し質的量的緩和をさらに強化中である。また、欧州はドラギ欧州中央銀行総裁が「やるべきことをやる」として国債などの資産買い入れによる量的緩和への強い決意を表明した。さらに、先週末中国が電撃的に2年4ヶ月ぶりとなる利下げを行った。日本は景気回復の遅れで消費税再増税が先送りになり、また日銀の掲げる物価目標達成にはほど遠い状態で出口がいつになるか全く見えない。日銀は金利の上昇を防ぐために国債をブラックホールのように吸い込み(買い)続けなければならないおそれもある。欧州も依然として景気が低迷しておりデフレスパイラル=日本化が心配されている。ドラギ総裁はさらに低インフレ率が続くことに極めて強い危機感を示している。中国は不動産価格の下落傾向が都市部も含めてほぼ全地域で明らかとなり、バブル崩壊懸念がさらに強まっている。中国指導部としても構造改革よりバブル崩壊を防ぐため金融緩和や景気対策を重視する方向へカジを切り直した可能性がある。
 金融政策が出口に向かっているのは米国だけで、日・欧・中はそれぞれの事情で逆に金融緩和を強化して行く方向にある。景気が芳しくない日・欧・中は、一方が緩和すれば他方も緩和するという通貨安競争をせざるを得ない状況にもなっている。欧州・中国はまだ本格的な金融緩和には踏み出していないが、この動きは端緒についたばかりともいえる。仮に踏み出したとしてもそれぞれに深刻な事態を抱えていることから、いつ金融緩和をやめることができるのか見通しがつかない。米国の量的緩和以上のマネーが世界に供給され続けることになれば、いつ終わるともしれない異次元の金融相場が始まり、世界中のいろいろな所でいろいろな形のバブルが発生する可能性がある。
《YU》

 提供:フィスコ

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