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【市況】新興市場見通し:個別材料を手掛かりとした中小型株物色が中心


先週の新興市場は、個別材料のあった中小型株に短期資金が流入する展開となり、相対的に堅調に推移した。主力大型株は円安進行や日本銀行のETF買い入れ期待から下値は堅いものの、短期的な過熱感が意識されこう着感の強い展開に。一方、マザーズ市場は前週に逆行安となった反動からやや買い戻し優勢に、ジャスダック市場は年初来高値水準まで回復していたこともあり売り買い交錯となった。但し、従前まで買われていた新興市場主力株では利益確定売りが膨らんだ銘柄も多く、値動きの軽さから個別材料のあった中小型株への物色が強まる形に。なお、週間の騰落率は、日経平均が-0.8%であったのに対して、マザーズ指数は+2.4%、日経ジャスダック平均は+0.8%だった。

個別では、オンコセラピー・サイエンス<4564>が週間で55.3%高。連日でマザーズ売買代金首位となった。パイプラインの進展など材料が豊富なことが好感されている。ジャスダック市場ではアサカ理研<5724>が連日の大幅高に。但し、21日はストップ高を付けた後、一転ストップ安まで急落しており物色一巡感も。その他では、ケアネット<2150>、イナリサーチ<2176>、ASJ<2351>、AMBITION<3300>、アクセルマーク<3624>、モルフォ<3653>、ノジマ<7419>などの上昇が目立った。一方、FFRI<3692>が週間で9.1%安、ファーマフーズ<2929>が同26.4%安、オプティム<3694>が同25.4%安と、従来のマザーズ売買代金上位銘柄は資金流出で大幅安に。前週上場のSHIFT<3697>は一時10400円まで上昇したが、その後利益確定売りに押され21日終値は6910円となった。ジャスダック市場でも、今期業績見通しへの失望から日本マイクロニクス<6871>が同10.6%安、トレックス・セミコンダクター<6616>が同11.2%安と下げが目立った。

今週の新興市場は、引き続き中小型株物色が中心の相場展開が想定される。個人投資家を中心に物色意欲の強さは見られるものの、新興市場全体をもう一段押し上げるだけの資金流入は見込みづらい。短期の値幅取りを目的に、個別材料があり、かつ値動きの軽い中小型株が選好されやすい地合いが続くだろう。

株式市場全体では水素、鳥インフルエンザ、訪日外国人関連などがテーマとなってものの、足元の新興市場では物色の広がりに乏しい。但し、子会社による高効率水素製造技術の開発について報じられた綜研化学<4972>のように、関連材料のあった銘柄には投資家の関心が集中するだろう。また、ゲームを中心としたスマートフォンアプリの動向やバイオ関連のパイプライン進捗のリリースには注視したい。しかし、オンコセラピー・サイエンスやアクセルマークのように上値の重さが意識されない銘柄がより買われやすく、関連銘柄でも二極化が進むだろう。

今週の決算発表は、27日にラクーン<3031>、28日に東和フードサービス<3329>、トリケミカル研究所<4369>、ACCESS<4813>などが予定されている。また、26日には日本PCサービス<6025>が名証セントレックス市場に、27日にはCRI・ミドルウェア<3698>がマザーズ市場に新規上場予定。日本PCサービスは公開価格を上回る穏当な初値形成が、CRI・ミドルウェアは人気化が想定される。なお、先週はインターワークス<6032>など8件のIPOが発表され、12月の新規上場予定は28社となった。

《TN》

 提供:フィスコ

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