【経済】新米価格、豊作と消費減少で大幅安
農林水産省が10月30日に公表した9月のコメの生産者が卸売業者に販売する際の目安となる相対(あいたい)取引価格は、全銘柄平均で前年同月比16.1%安の60キロ当たり1万2481円となり、2006年の調査開始以来最も安くなった。
そのため、2014年産のコメの店頭価格は昨年秋より1~2割程度安くなっている。ここ数年、各地で豊作が続いている反面、食文化の多様化や高齢化によりコメの消費は減少し大量の繰り越し在庫がある「コメ余り」状態となっているのが主な要因と見られている。
一方、同じく30日に発表された10月15日現在の全国のコメの作況指数(単位面積当たりの収穫量)は、「平年(100)並み」となる「101」だった。作況指数が100を上回るのは4年連続。しかし、今年は例年に比べ天候などの影響でコメの生育にバラツキが多かったため、初めて「死米(しにまい)」と呼ばれる収穫されても生育が悪く実際には出荷できないコメの調査が行われ、「死米」が20万トン程度にのぼることが明らかになった。農林水産省は「これだけ死米が多いのは異例で、実際の生産・流通量は予想収穫量を下回り需給が引き締まってコメの価格は上がる方向に進む」と見ている。
消費税増税や円安の進行により、小麦の価格が上昇しパンや即席麺など食品が続々と値上げされており、最近では生乳不足によるバターの価格高騰や品薄状態も話題となっている。主食となる新米を安く購入できるのは消費者にとっては喜ばしいことだが、農家にとっては死活問題となるため、今後のコメの価格動向への影響が注目されそうだ。
《YU》
提供:フィスコ