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【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】


「黄金の3ヵ月」を迎える株式市場

●株価下落で摘まれたバブルの芽

 10月は月の前半と後半で黒白が明確過ぎるほどはっきりした相場展開になった。前半は月初めから急落開始、17日にそれが止まって回復に転じたあとは上昇の一途。なんとも極端な展開だった。

 こんな動きが繰り返されたらたまったものではないが、幸いそうなる可能性は非常に低くなってきた。東京市場だけでなく、肝心の米国市場が欧州、中国、そして米国経済の減速観測を株価に大部分織り込んだと見てよいからだ。

 それにもう一つ忘れてならないのは、今回の下落で、米国市場で発生の恐れがあったバブルの芽が摘まれたことだ。

 IMFは今月初旬、世界経済の成長率予想を7月時点より下方修正するとともに、名指しこそしなかったものの、実際には米国市場で「泡立ちが見られる」として婉曲に警告を発した。

 私はこれを非常に重要視する。実際、米国市場はイケイケどんどんのムードになりつつあった。何しろNYダウは09年3月から上がりっぱなし。史上最高値を更新し続けてきたのだ。

 それにより何が起きているか。株式投資をしている米国人のほとんど全員がこの4年間で資産を急激に増やし、リッチになっているのだ。こうなった場合、当然のようにほとんどの人はイケイケどんどんになる。

 なんとも羨ましいことながら、IMFはそんな米国の株式市場を見て、「泡立ちが見られる」と言ったのだ。

 こんな指摘は過去ほとんどなく、その意味で衝撃でもあったため、株式市場は急落したのだが、もうそれも終わった。それは本格的なバブルに発展しかねなかった「泡立ち」を小さなうちに押さえ込んだことになったと言ってよい。

 IMFの異例の指摘がなければ、本当にバブル化し、そして近い将来それは大崩壊、われわれも否応なくそれに巻き込まれてしまうところだったと見る。

 しかし、幸いそれは回避されたのだ。その結果、今後の米国市場は、過熱に至らぬ程度に盛り上がりつつ上昇を続ける可能性が高くなった。

●消費増税決定でも影響は一時的

 FRBが量的金融緩和を10月で終えたことで、今後は政策金利が引き上げられるため、それが経済の足を引っ張るのでは、との懸念の声が聞かれる。しかし、量的金融緩和の終了は、異常な金融政策の終了を意味するもので、それが終わって金利が自然体で上下する。いわば経済の正常化であり、歓迎されるべきものになる。

 そしてそれは、ドル価格の正常化にもつながることになるため、今後、ドルは次第に水準を切り上げていく可能性が高くなるのだ。もちろん、一気に115円とか120円にはならない。しかし、これらの水準に向けてドルは上昇し、円は下がる。こう見るのが自然で、来年も株高が想定され、いまから楽しみにしたい。

 しかし。来年上がるより、今年中に上がってほしいのが正直なところ。この点はどうなのか。

 10月は魔の月だったわけだが、幸い11月から年明け1月にかけては、私が「黄金の3ヵ月」と呼んでいる3ヵ月になる。

 この3ヵ月は株が非常に上がりやすいのだ。年末にボーナスが入る人が多く、直接株式投資する人が増加するのはもちろん、そうしなくても投資信託を経由して結果的に株式投資をする。こんな人も急増するからだ。そして、1月は新年相場への期待が大きく膨らみ、これまた新規投資が増える。

 途中、12月に入ると政府は消費税の追加引き上げを決定する恐れがある。私は今回は見送るべきだという考えだが、財務省や日銀総裁、その他政治家、そして識者たちの多くは消費税引き上げに賛成だ。

 引き上げ決定となると、市場に影響するか? 一時的にはマイナス影響があるかもしれない。しかし、大事なのは円の動向であり、ドルが上がりさえすれば円は必然的に下がるため、東京市場は上昇する。こうなる確率が高く、消費税引き上げが決定しても、さほど心配することはない。 

 では、こんな状況下、期待が持てる銘柄はどれか。まずはオイルシールとフレキシブル基板でともに首位のNOK <7240> だ。液晶用偏光フィルム大手の日東電 <6988> も6000円台に乗らないうちに投資しておきたい銘柄だ。

 そして、証券各社のレーティング引き上げが相次ぐソフトバンク <9984> だ。値動きはやや粗いがキヤノンMJ <8060> 、SUMCO <3436> の押し目も見逃さないようにしたい。

 そして、最後に毎度お馴染みの日本空港ビル <9706> だ。

2014年10月30日 記

「チャートブック日足集」No.1544より転載

(「株探」編集部)

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