【経済】国会は何をするところか
国会は言うまでもなく法案を審議し、法律を制定・改廃する国権の最高機関である。しかし、現在国会で大騒ぎになっているのは小渕経産相の政治資金収支報告書の記載問題と松島法相の「うちわ」問題である。両方とも瑣末な問題とまでは言わないが、いま世界では、エボラ熱拡大懸念、世界の景気減速懸念、イスラム国の台頭懸念、香港の政治体制問題等々の大問題で揺れており、そのスケール感と比べると日本の政治家は一体何をやっているだろうとい感は否めない。今回の件は、与党・自民党の脇が甘かった点も問題だが、これに大喜びして全精力を傾けて追及している野党もいかがなものか。日本では消費税増税の影響による景気減速に対する懸念が重大な関心を呼んでいる。各種世論調査をみても国民の最大の関心事は日本経済・景気の行方だ。今臨時国会では成長戦略が議論され各種の法案が成立することによって、いよいよ成長戦略が順次実行段階に入り始めると期待していた国民も数多くいたはずである。臨時国会の会期末は11月30日と、もうそれほど残された日数はない。このような問題に終始していては与党も野党も国民から失望されるだけである。政治とカネの問題は確かにないがしろにはできない。しかし、国会を1日開催するだけも数億円の経費がかかっているのに「うちわ」や「オムツ」の議論で国会の人的・時間的リソースの大部分を使ってもらっては困るのである。優先順位をよくよく考えて、日本経済の再生に向けて、大きな視点から建設的で真剣な審議を望みたい。
《YU》
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