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【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】


「信ずべき二つのもの」

●次第にドル高に回帰へ

 9月相場が想定以上の強さだったのに対し、10月はいまのところ絶不調だ。今年は月初めに下げることが多く、10月もそうなってしまっている。しかし、それにしても極端だ。世界各国市場も軟調とはいうものの、東京市場ほど極端な下げになっていない。

 10月2日には日経平均がなんと420円も下げた。前日のNYダウが238ドル安。下落率は1.40%だったのに対し、日経平気のそれは2.61%に及んだ。東京市場がいかに極端な動きになったか、これだけ見ても明瞭といえるのではないだろうか。

 なぜ、こんなにも極端な動きになったのか。円の急反発――これが最大の要因だ。円は前日の10月1日には一時110円の安値があった。それが一夜明けて108円台半ばに急反発してしまったのだ。

 東京市場の9月の上昇は、円安効果によるものだった。円は105円前後から110円へ意外なほど早いピッチで下げたのだ。ところが、10月2日はわずか1日で大きく反発してしまい、円の続落を見込んでいた投資家はびっくり仰天してしまった。こういうことになる。

 その背景にあるのは、欧州経済、特にドイツ経済の失速懸念、エボラ出血熱患者の米国での発症確認、そして香港の学生たちによる民主化運動の拡大などだ。

 これらのうちもっともウエイトが重いのは、香港での民主化運動になる。中国での民主化運動となると、どうしても天安門事件を思い出してしまうからだ。当時と現在ではもちろん状況が異なる。しかし、政府、特に香港を管理下に置いている中国政府が強攻策に出たりすると、第二の天安門事件が起きないとも限らないのだ。

 正直なところ、香港の学生運動がドルの変動にそんなに影響するだろうかという疑問はある。しかし、先月、スコットランドが独立の是非を掲げて住民投票を行った際も、ドルは一時的に急落した。

 住民投票実施前は、独立賛成派が多いとの見方があったため、独立することになったら英国の受ける損害は甚大、それが米国にも及ぶ。こんな見方が一般的になっていた。

 しかし、結果は独立反対派が大勢を占め、一件落着となったのだが、たとえ独立が実現していたとしても、市場はいま頃落ち着いていたに違いない。スコットランドが独立したとしても、実際は米国経済に深刻な影響を及ぼすことにはならないからだ。

 香港での民主化運動拡大についても同様のことがいえる。香港は英国との関係が緊密なため、米国も当然そこでの民主化運動には強い関心を持つものの、それが米国経済に深刻な影響をもたらすようなものに発展することはまず考えられない。

 このため、売り込まれたドルは今後、次第に買い戻される。こう見るのが自然で、ここはそれを待つのが正解となる。

●回復トレンドは変わらず

 今回の急落で、東京市場は9月初旬の水準に戻ってしまった。驚くほどの上昇分のほとんどを吹き飛ばしてしまったことになり、なんとも残念だが、ここはそれを嘆いていても仕方がない。

 上げた銘柄の多くが、上昇ピッチが早すぎて投資できなかった。こういう銘柄が多数だったのだ。それを思えば、ここにきての下げで、多くの銘柄が押しを入れた形になった。そこを拾っておく。これが有効になってくるものの、それが成功するには先高、これが不可欠だ。

 この点、どうなのか。ドル高・円安の流れに変化はない。こう言える状況にある。その根拠としてあげられるのは、FRBのイエレン議長が「10月に量的金融緩和を終了、しかるべき期間を置いて金利を引き上げる」。こう公約しているからになる。

 中央銀行のトップが、こう言っている以上、それを信頼して投資する。これが勝利につながりやすいのだが、時々それに水を差すようなことが起きるのが株式市場だ。

 それにあまりドタバタしないようにしたい。信じるべきは、米国経済の復調と、同国の金利引き上げ予告。これらであり、ここから目を離さない。これが非常に重要だ。

 いろいろマイナス材料があるため、今回のような下げもある。しかし、円が下落するというより、ドルが上がる限り東京市場の回復トレンドはキープされるので、ここはこのところ大きく売り込まれた銘柄をしっかり拾っておきたい。

 具体的には、まずは工業用ミシン世界首位のJUKI <6440> だ。ミシン需要旺盛による収益好調を理由に株価は上昇を続けてきたが、急失速した。だから、魅力的だ。

 9月初めから半ばにかけて売り込まれたあと回復に転じていたカシオ <6952> もまた売られた。故に魅力的だ。

 歯科治療機器に強い松風 <7979> も、下値を固めつつあり、今後見直し買いを期待できる。

 下値の固い銘柄をもう一つ。オムロン <6645> だ。制御機器やヘルスケア機器類の販売が好調なだけに、株価は蘇生の確率が高い。最後に日本空港ビル <9706> 。魅力はなお不変だ。

2014年10月3日 記

「チャートブック日足集」No.1540より転載

(「株探」編集部)

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